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“際くずし”の進む時代」
いかに従来発想の殻を破り「際」から踏み出すか…

(株)大和シンク・エージェンシー
取締役社長 石 橋 達 也

 暑い夏。汗ビッショリでお越し頂いたお客様に、少しでも「涼」をと思い、ご希望を伺って熱い上等の緑茶か冷たいアイスコーヒーかをお出しすることにしている。
 アイスコーヒーは、A社の「B」製品が美味しい。従来は近くのコンビニ店で購入していたのであるが、昨今A社の流通経路が変更したのか同商品を置いていない。探し廻った結果、大型スーパーの店頭に出ていた。早速買い求めたのであるが、その大型スーパー、深夜の11時まで営業していて大変好都合。これではスーパーではなく「大型」コンビニ店である。大型店だけに20坪ほどの一般コンビニ店と比較して品揃えでも優位である。
 コンビニ出店問題でヒルズ元国務長官から顰蹙を買った静岡であるが昨今では雨後の竹の子のように多くのコンビニ店が出てきた。既存の商店は大変であろう。そのコンビニ店に大型スーパーの逆襲が始まったと見る。扱い商品は日常用品のみか、公共料金取り扱い、簡易医薬関係用品、旅行取り扱い、コピー・ファックスと留まるところなく各業種分野ヘ拡大していく。
 ここ10年来、私は「国際化時代」は「際くずし」の時代。経済や生活情報が国境を飛び越えて交錯する時代で、「国境」概念がなくなり、「際」に固執すると遅れをとることを述べてきた。
 スーパーの駐車場の片隅に、客寄せ手段としての「ガソリンスタンド」の出現を予測したが、これも実際出現した。市内の有名ホテルでは、競合店出現でカラオケルームを開設した。
 得意分野を核として、周辺へ自らの造ってきた「際」を崩した、業態工夫が一層求められている傾向が強まっていることを、深夜営業の大型スーパーやホテルの業態に見た。
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 「紺屋の白袴」では拙い。我が身を振り返ってみよう。
 ここ数年来、ご依頼の多い問題の一つに「労働時間短縮」のテーマがある。もっとも本問題は今春までの猶予期間が経過して、対策検討から実施の段階を迎えている。
 ある全国レベル団体の「労働時間短縮事例集」レポートを見た。我社の取り組んだ事例も掲載されている。
 従来の「際」内で考える「労働時間短縮対策」は、基本問題の労働生産性向上については比較的アッサリ。「勤務カレンダー」とか「変形労働時間制」の採用とかに関してはかなりのボリュームをかけて対策を考えるのが常であった。
 これは人事・労務問題の「際」内の分野である。
 労働時間短縮の効果を上げるためには、基本はやはり労働生産性の維持・向上がなくてはならない。
 ECRS(Elimination, Combination,Rearrangement, Sinplification)シートを使った無駄排除対策の策定、PQ分析、連続観測法や瞬間観測法を使った稼働分析、現場のラインバランス分析などを通して労働生産性を上げ時短対策を導き出すなどは、労務管理の世界ではなく従来は生産性向上対策の世界であった。どれだけ従来発想の人事・労務屋の「際」が踏み出させるかが効果ある対策提言の課題であろう。
 生産・流通・諸先生方業界を問わず全ての業界において、今改めてこの「際くずし」が求められている。


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 中小企業静岡(1997年08月号 No.525)
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