最近の商業界は、相次ぐ大型店の進出・ロードサイドへの商業集積、規制緩和によるディスカウント店の展開、更には商業経営者の高齢化・後継者難などによる空き店舖等々商店街を巡る環境は厳しいものがある。
より力の強いところに、ストローで吸い込まれるように消費購買力が吸収されてしまうという現象、いわゆるストロー効果を一層促進する結果となっている。
こうした中、県下各地で、地元商店での購買の増加策として、従来のスタンプカードにかえてポイントカードシステムが導入されている。
その他スーパーマーケットなどでも、その店独自でポイントカードを発行するなど、まさにカード時代の幕開けの感が強い。消費者懇談会の席上で聞いたところでは、カードを四〇〜五〇枚もっている主婦もいるほどである。
筆者が参加したポイントカードシステム事業十数件の、どの消費者調査でも、サービスシールは不人気であり、とりわけ若者はほとんどシールを収集していない。
その理由は、シールを「貼るのが面倒」が第一位。次いで「シールをくれない」が第二位である。
さてポイント・サービスの基本的な性格を考えてみよう―――。
その一 平等性
値引きは、購買者に一定・平等ではなく差があるが、ポイント・サービスは、全ての購買者に平等に与えられる。
その二 継続性
ポイントは、一時期に提供されるサービスでなく、長期的なものである。
その三 多角的
ポイントは、商品交換のほか、預金・招待旅行・催事・福引券等、目的や時期によって多角的に利用できる。
その四 僅少性
ポイントは、他の販売促進手段と比較して日々の経費は僅少である。
その五 協同性
ポイントは、大規模店でない限り一店では効果が少ない。それは、収集期間が長期化するからである。
この性格が地域ポイントシステム事業の存立基盤である。
その六 貯蓄性
ポイントは、人間の収集する楽しみという本能に訴えるものである。
このようなポイントカードシステムの性格を活用して、本来的機能で
ある顧客の共有化・固定化を通じて販売促進を図るものである。
ともあれ、ポイントカードシステムの成否の鍵は、いかにカードに魅力をつけることができるかということである。
それには、顧客が喜んで参加できる催事・イベントが企画できるかである。
消費者懇談会の席上において、主婦は一日家を空けられないので「ホテルでの昼食・ディナーサービス」の要望があった。
県下のある商工会地域で、サービスシールをポイントカードに切り替えて、ポイントの売上高が二〇%以上増加した事例がある。
また、ある米穀店では、売り出し日にポイント二倍・三倍セールで販売促進効果をあげている。
いずれにしてもポイントシステムは、販売促進の手段であり、そのツールをうまく、上手に使えることができるかが成功への道である。 |