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協業組合東名共助会
▲結婚式場『ジョイベル』
時代の変化に多角的な事業で対応

県下初の協業組合

 それまで営んでいた事業を統合し、共同で経営を行う”協業組合”。県内では、五四の協業組合が活発に事業を行っている。
 その中で、県内第一号として昭和四三年に誕生したのが協業組合東名共助会である。焼津市、藤枝市、志太郡などを中心とする地域で、冠婚葬祭などの行事を取り仕切るほか、衣裳の貸し出し、冠婚葬祭互助会を運営している。
 設立当時、この地域には葬儀等の祭事を引き受ける冠婚葬祭業者が十数軒あった。しかしその頃、会員を募集して婚礼や葬儀を請け負う”冠婚葬祭互助会”が全国展開。地元の業者は顧客を奪われるなど、死活問題にまで発展していた。
 こうした中で地元の業者四社が、その前年に法制化されたばかりの協業組合制度を活用。各社の事業を廃止し、その全てを協業化した。
 「前例がなかったこともあり不安はありました。しかし、新しい経営方法を取り入れ、生き残りを図っていく必要がありました。会社にする方法も考えましたが、できたばかりの協業組合制度に魅力を感じ、こちらを選んだのです」(秋野理事長)
 設立と同時に、組合では冠婚葬祭互助会の運営を開始。祭儀が発生してはじめてお声がかかるといった”客待ち主義”を脱却し、PRによって会員を募る積極的な営業体制を導入した。また、それまで組合員の事業は葬祭に関するものが中心であったが、婚礼に係る分野も強化するなど事業の幅を広げながら経営の近代化を図ってきた。

手作りの結婚式をバックアップ
 

 現在組合では、組合事務所を兼ねる結婚式場の『ジョイベル』や葬祭を請け負う営業所、各種衣裳を貸し出す衣裳部など十カ所の営業拠点を持つ。
 「幅広い地域に住む会員の皆さんに気軽に利用していただける体制を整えています」(同)
 特に高度化資金を活用して建設したジョイベルは、昭和五二年の開業以来、増改築によって設備を充実させてきた。
 民間の互助会や結婚式場、ホテルなどとの競争が激しい中、ジョイベルでは自由なスタイルの結婚式が行えることをセールスポイントに営業している。
 「会場レイアウトからフラワーコーディネート、テーブルクロスの色に至るまで、お客様のご要望をできる限り取り入れています」(同)
 シンプルな中にも質の高いサービスを提供することが組合の身上。利用者の要望を尊重し、手作りの結婚式を演出することを心がけているという。

ウエディングチャペルをオープン
 
 組合ではこのほど、屋外ウエディングチャペル「セントクリスティー」を開設。今年二月にオープンした。
 白い外壁に覆われたチャペルの扉をくぐると、室内も純白を基調とした格調高いデザイン。二八〇本のパイプを用いたデンマーク製のパイプオルガンや、イタリア製の大理石を使ったバージンロードなど、随所にこだわりが感じられる贅沢なデザインとなっている。
 「せっかく作るのだから立派なものにしたかった。パイプオルガンも国内には数台しかないという特注品。牧師さんやパイプオルガンの調律師からも『本格的なチャペルだ』との折り紙つきです」と秋野理事長は胸を張る。
 室内には防音構造が施されており、厳粛な雰囲気の中で挙げられる結婚式は利用者からの評判も高い。
 「ここ数年結婚式は減少傾向なので業界の競争が激しく、お客様のニーズに応えていかないと生き残れません。幸い当組合は、地域の皆さんに利用していただいており、運営は順調です。今後もお客様に喜んでいただける組合でありたいと考えています」(同)
 日常的に利用することはないが、人生の折々でお世話になるのが冠婚葬祭業者。きめ細かなサービスを大切にした活動を続ける東名共助会は、地域の人々にとって心強い存在となっている。
▲ウエディングチャペル『セントクリスティー』 ▲冠婚葬祭用の衣裳を貸し出す

中小企業静岡(1997年 5月号 No.522)