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視点・指導員の現場から

1円でもいいから儲けようよ!

異分野連携施策

これまで異業種グループや融合化組合等で研究・開発の取組みに関わらせてもらう機会が幾つかありました。現在もこのような組織等に携わらせてもらっています。

「交流」、「研究・開発」、「連携」に関する施策を振り返ると昭和56年の「技術交流プラザ事業」の創設。昭和63年「異分野中小企業者の知識の融合による新分野の開拓の促進に関する臨時措置法(融合化法)」の施行。平成7年融合化法が統合廃止される形で「中小企業創造活動促進法(創造法)」の施行。平成17年中小企業経営革新支援法、中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法、新事業創出促進法の三法律を整理統合、新事業活動「新連携」の支援を加えた中小企業新事業活動促進法への衣替え、と、その時代に即応して形を変えてきています。

行き着く所は・・・。

こうした支援策を活用して多くの中小企業や関連組織が、新製品・新技術開発に取り組んできましたが、よく出くわす話が「作ったがどこへどのように販売していいかわからない・・。」、「ターゲット(市場・業界)へ持ち込んだが、作ったモノが必要とされていなかった・・・。」という販売力不足、ニーズ把握不足の話です。

例えば「○○業界の□□さんが△△の工程で不自由しているので、省力化できる装置があればありがたい・・。」という提案を聞き、ニーズも市場もあると即断、製作に入り、結果、出来上がったプロトタイプは商品化には至らなかった、というようなケース。ニーズの把握を「□□さんの意見」で全て把握したという錯覚。販売についても「□□さんが必要と言っているのだから○○業界で買ってくれるだろう」という見込み違い、が生み出した一例ですが、このパターンが意外と多いです。

異分野連携と儲ける組織

異分野連携による研究・開発は、研究・開発面だけでなく市場・ニーズ調査、特許、利益配分、営業・販売体制等のトータルバランスを持ち合わせた組織が「試作品」から「商品」にバージョンアップできるのではないでしょうか?或いはトータルコーディネイトやニーズとシーズの橋渡しを外部組織に求めてもいいかもしれません。

最近では、「新連携」と共に平成19年度に「地域資源活用プログラム」が始動。さらに平成20年度経済産業省と農林水産省が双方の強みを活かしながら、相乗効果を発揮する「農商工連携」が異分野連携の第3弾としてスタートしています。

このような異分野連携施策を、なかなか商品化まで辿り着けない中小企業等が、上手に活用するためのサポートが、本会のこれからの役目の1つだと感じます。そのことが前述のトータルバランスを持ち合わせた組織に繋がっていくのが理想です。

以前、10数年、活動している異業種グループの1人が他のメンバーに向けて言った言葉が強く印象に残っています。「これまでいろいろやってきたけど、そろそろ1円でもいいから儲けようよ!」と。

(吉田一)