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クローズアップインタビュー

東名遠州豊田PA北側に新たな工業団地
絶妙なバランス感覚で団地の舵取り

磐田PA工業団地協同組合
青山行雄 理事長

ETC専用のスマートインターチェンジが設置され、至便性が増した東名高速道路の遠州豊田パーキングエリア(PA)。その北側で平成16年から始まった約42ヘクタールに及ぶ土地区画整理事業がいよいよ完了を迎える。16社の工場群に加え、大型商業施設や温泉施設を備えたホテルも進出。新たな産業集積として脚光を浴びる地だ。

その一角に磐田市などの異業種5社が団地組合を設立、進出した。

「10年以上の土地探しの末、ようやく安住の地に落ち着いた安堵感と、いまからが正念場という身の引き締まる気持ちが入り混じりますね」。

理事長として集団化という難事を成し遂げた安堵、そして団地運営の舵取りを担う重責が伝わる。

団地への進出は、工場の狭隘化や老朽化、市街地での操業による近隣住民への配慮など、共通の悩みをもつ磐田市や旧豊田町の10社が、平成9年に研究会を立ち上げたのがきっかけ。

「磐田市やその周辺を含め、多くの用地を見てまわったが、“帯に短し襷に長し”で、なかなか条件に合うところはない。そうこうするうちに、独自に進出先を見つけた企業が抜けたりして、当社を除き全社入れ替わってしまった」と笑う。

そんな中、PA周辺の土地区画整理事業の計画が持ち上がった。

「大手や中堅企業は独力でも進出できるが、我々中小には組織の力が必要」と平成20年に組合を設立。高度化資金などを利用し、進出面積約2万平方メートル、総投資額約18億4000万円で念願を果たした。

組合員は、高度化事業を利用するのに最低限必要な5社。1社でも欠ければ、新天地進出の夢は潰える。

「5社はほぼ同規模だが、それぞれが一国一城の主で価値観も違うため、意見の調整が難しかった。集団化事業は時間との闘い。締めるところは締めなくてはならない。しかし、時間をかけるべきところは、じっくり取り組んだ。手を抜いたら取り返しがつかなくなるからね」と絶妙なバランス感覚を発揮した。

組合では副資材の購入や廃棄物処理の斡旋のほか、警備、給食、健康診断などの共同化を計画。さらに、「縁あってここで操業するのだから、進出して終わりではなく、仕事の融通や技術の交流など、互いに伸びて行くようつながりを強めていきたい」と夢は広がる。

浜松市内の老舗木工機械メーカーを23歳で退職し、独立。今年4月創業40年の節目を迎えた。

「商売は最終的には人と人。ときには打算抜きで義理とか人情で動くことも必要だよ」との強い信念をもつ。