情報連絡員による月次景況調査からみる
平成20年県内中小企業の景況
世界的な景気減速や個人消費の停滞を背景に、県内中小企業の景況感極めて深刻
本会では、県内中小企業の景況を迅速かつ的確に把握するため、様々な地域や業種の組合役職員87名に情報連絡員を委嘱し、景況調査を毎月実施している。
連絡員から寄せられる景況に関するデータや業界の動き、要望などの情報は、本会で取りまとめ、行政や関係機関への情報提供を通じて、中小企業施策への反映やその資料として活用されている。
トピックスでは、昨年、連絡員から寄せられた「売上高」、「収益状況」、「業界の景況」の主要三指標を中心に、平成20年(1月から12月まで)の県内中小企業の業況を振り返る。
静岡県中央会における情報連絡員制度の概要
連絡員数
87名
業種
17業種(食料品製造、一般機械機器など製造業11業種・小売、建設、運輸など非製造業6業種)
調査項目
「売上高」「在庫数量」「販売価格」「取引条件」「収益状況」「資金繰り」「設備操業度」「雇用人員」「業界の景況」の9項目について、前年同月と比較し、「好転」「不変」「悪化」を判断。連絡表を通じ、本会に毎月報告される。
本会でこれらを集計し、DI値((増加・好転組合数―減少・悪化組合数)/調査対象組合数×100)を算出。国や県、全国中央会、関係機関等に静岡県中小企業の景況として情報提供する。
また全国中央会を通じ、全国3000人の連絡員による全国統計として、景況判断の指標として活用される。
売上高
全業種のDI値は、7月以降悪化の度合いを増し、11月には前月より一挙に20ポイント近く下落。マイナス66.7と急激に悪化した。この数値は、過去10年間では平成11年1月のマイナス67.5に次ぐ低い値である(表1)。
製造業は、前年(19年)3月にプラスを示したのを最後にマイナスで推移。20年は一貫して悪化傾向を示し、11月にはマイナス69.2と前月比30ポイントを超える大幅な悪化となった(表2)。
非製造業も8月以降、月を追うごとに直近5年間の最低値を下回り、12月にはマイナス70.8にまで落ち込んだ。
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収益状況
全体の収益状況は、9月まではマイナス50後半で推移していたが、10月にマイナス60台に悪化。11月には、直近15年で2番目に低い値となるマイナス72.4にまで低下した(表3)。
製造業は、秋口までマイナス40台後半からマイナス50台半ばで上昇・低下を繰り返していたが、10月に大幅に悪化。年末を迎えさらにその度合いを増した(表4)。
非製造業は、製造業に比べ悪化の度合いが高く、1月は20ポイント以上の差が見られた。以降も4月と7月以外は、常に製造業を上回る悪化を示し、12月にはマイナス75.0に達した。
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業界の景況
前年から下降傾向が続いていた業況は、10月にマイナス72.4に落ち込むと翌月には平成10年10月以来となるマイナス80(マイナス80.5)台にその値を大きく下げた。
製造業も同様に、9月まではマイナス40台から50台に漸減していたが、10月に前月を20ポイント以上超えて、マイナス76.9に下落。翌月はマイナス82.1を示すなど、業種を問わず景況の先行きに対する不安感は、高まっている(表5)。
一方、非製造業の業況感は、秋口まで製造業を上回る悪化の度合いを示してきたが、秋以降は製造業に比較し、その悪化の度合いは緩やかな傾向にある(表6)。
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