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クローズアップインタビュー

安全の追求とコンプライアンスの徹底を
地域社会の安全確保に貢献

静岡県消防設備保守点検協同組合
西川和宏 理事長

消防設備の施工や保守点検に携る17社を束ね、協同組合を設立したのは平成6年。設立以来理事長を務めるその協組が今年2月、優良組合として産業振興知事褒章を受けた。

「安全の追求とコンプライアンス(法令の遵守)は表裏一体。この徹底こそが健全な業界発展につながると訴え、実践してきたことが認められた」と晴れやかな表情を浮かべる。

消防施設との関りは50年近くに及ぶ。静岡工業高校を卒業後、防災設備会社に入社。業界に飛び込んだ。知己のない浜松で防災設備の必要性を熱心に説き、営業所を任された。

「入社4年目にその会社が倒産しましてね。顧客へのサービスやメンテを継続するために、自ら創業しました」。

業界に入った昭和36年は、消防用設備などの規定を盛り込んだ消防法施行令が制定された年。文字どおり消防設備とともに歩んだ半世紀だ。この間、建物の大型化や高層化、設備のハイテク化が進み、異業種の参入や激しい価格競争など、消防設備を取り巻く環境は大きく変容した。

「ひとくちに消防設備といっても、スプリンクラーや二酸化炭素消火設備などの消火設備、自動火災報知設備、漏電火災警報器など警報設備、さらには緩降機、誘導灯といった避難設備など、多種多様で特殊。扱い方を誤ればかえって危険を招く。そこで確かな技術をもつ仲間に呼びかけ、適切な保守点検業務の受注や組合独自の検査体制を築くことを目的に設立に踏み切りました」。

現在組合員は24社。うち各種消防設備士229人、点検資格者141人を擁する全国屈指の技術者集団だ。この高い技術力が評価され、平成13年には官公需適格組合証明を取得。“エコパ”など大型公共施設や浜松市内の240校を超える幼・小・中学校の消防施設の保守点検業務の受注に成功するなど成果は大きい。

設立以来先頭に立って取り組むのが、消防法はじめ法令の遵守だ。

消防設備の保守の徹底を目的とした点検報告制度が法制化され、30年以上経たが、「有資格者が一人でもいれば他の従事員は無資格でもいい」など解釈が曖昧で、制度の形骸化が深刻。平成19年度には点検業務の質の低下だけではなく、人命にも関る重大事と国などに積極的に働きかけ、有資格者の確認の徹底や業務の再委託禁止の仕様書(入札心得)への盛り込みなど、大きな前進を得た。

「あくまでこれは第一歩。安全安心の確保のためさらに訴えていきたい」。

趣味を問うと、「温泉めぐりと読書。でもこの業界で育てられてきた恩返しのため、業界の発展に尽くすことが一番だね」と返ってきた。