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特集

第53回中小企業団体静岡県大会
活かせ!地域資源 〜組合の力でビジネスチャンスを〜

第二部 中小企業団体静岡県大会

活かせ!地域資源 〜組合の力でビジネスチャンスを〜

来賓の花森憲一県副知事は、

「景気は回復基調にあるが、依然中小企業の経営環境は厳しい。県経済の牽引役である中小企業は、情報や人的資源を活かし、地域資源を新たなビジネスチャンスにつなげていただきたい。県では第一次から第三次産業を総合的に支援する体制を整えた。地域経済のリーダーである商工四団体の取組みに今後も支援していきたい」とあいさつした。

静岡県市長会を代表してあいさつに立った桜井勝郎島田市長は、

「中央と地方の格差に加え、地域間の格差拡大も懸念されるなか、われわれは地方の強みを活かして成長していくことが求められている。組合を核にした地域資源の活用が、疲弊した地方経済建て直しの契機となることを期待している。自治体も地域の中小企業の活性化につながる施策を展開していく」と述べた。

関東経済産業局の諸岡秀行産業部長は、

「地域資源の活用は、企業立地促進と並ぶ施策の大きな柱。この8月、県別に地域資源を認定し、今月には静岡県の4件をはじめ地域産業資源活用事業計画の第1号を認定した。5年間で1000件の新規事業創出を目指す考えだ。今後、ますます連携の場が重要となる。中央会が担う役割は大きい」と期待を寄せた。

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地域資源を生かすための視点 〜地場産業から磁場産業へ〜

次いで、大東文化大学経営学部 熊沢孝教授による基調講演が行われた。

熊沢教授は、

「『地方』は従来の中央―地方という構図ではなく、結節点としての機能をもつ存在としてとらえることが必要だ」とした上で、全国各地でいかに多くの結節点をつくるかが重要、と新たな地方の視点を提示。

また、「大ロット、マスマーケティングの時代は終焉し、今や何に価値をおくかは、ユーザーに委ねられる時代に入った。『個人』を追求することが市場を知ることになる」と個人をとらえることが今後の企業に求められる能力であるとした。そして、「光を感じるセンサー」を磨き、個人に直接訴求するダイレクトマーケティングがそのカギとなると強調した。

地域資源を活かすポイントとして、

「『眠っているもの』は地域固有のもの=地域資源ではない。それが現われる場をつくること、発想力が重要だ。魅力あるコンセプトは人を惹きつける。つまり『磁場産業』となる。人のつながりがビジネスモデル創造のポイントだ」と説いた。


大東文化大学経営学部
熊沢孝教授

1946年、大阪府出身。早稲田大学商学部卒業後、日本長期信用銀行、千葉商科大学教授、同大学院商学科研究科長を経て、2005年より現職。専門は消費論、マーケティング論、地域振興論。

「結節点」としての「地方」

「地方」とは、中央−地方という構図の中で生み出されたことばに過ぎない。こうした考えから脱却し、産業や文化の結節点としての機能をもつ存在ととらえ、全国各地にいかに多くの結節点をつくるかが、今後の地域を考える上では重要だ。

価値は人の数だけ存在する

大量生産、大量消費に代表される大ロット主義やマスマーケティングの時代は終わった。メーカーが消費者に価値を与えるのではない。いまや商品の価値は、人の数だけ存在し、何に価値をおくかは、個人に委ねられる時代に入った。市場を知るには、自らユーザーとなり、個人を追求しなければならない。

例えば、1年間に新たに発売される清涼飲料水の数は、1000種にのぼるが、翌年まで店頭に残るのは2〜3種といわれる。サントリーは、不特定多数のマスを対象にしたアンケート調査は行わず、個に特化したマーケティング、いわば中小企業的なマーケティングを進めた結果、「DAKARA」に代表される同社の商品は驚くほどのロングセラーを記録した。

個の価値を徹底的に根源まで追求すること、いかに多くの個人をつかむことが出来るかが、企業の生き残る道である。

地域資源と「磁場産業」

いかにその地域固有の資源が存在しても、「眠っている」ものであるならば、それは地域資源ではない。それが現れる場をつくること、そして、その地で固有の発想が地域資源を語る上で重要な要素だ。

魅力あるコンセプトには人が集まる。それが集積して「磁場産業」となる。いかに人を惹きつけるか、人とのつながりをもつかがビジネスモデル創造のポイントとなる。

テレビとインターネットが我々の色彩感覚を変えた。「光を感じるセンサー」を磨き、個人に直接訴求するダイレクトマーケティングを進めることが、今後、新たなビジネスモデルを考える上で重要となってくる。