静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2007 November No.648 地域との“つながり”を強固に、生き残りを目指す下神明商店街協同組合
共同駐車場整備で組合設立旧引佐郡三ケ日町(平成17年合併により、現在は浜松市北区三ヶ日町)。静岡県の最西端に位置し、奥浜名湖に面する風光明媚なまちである。隣接する愛知県豊橋市とも生活・経済面でのつながりは深く、温暖な気候を活かし、みかんの生産地としても有名である。 当組合は、この三ヶ日町の中心市街地の商業者など23人で、昭和42年に設立された。 設立の大きな目的は、共同駐車場の整備である。ちょうど昭和40年代は、わが国経済の高度成長期にあたり、モータリゼーションが進行していた。三ヶ日町は、山や湖に囲まれているため平地が少なく、商業者は駐車場の確保に苦慮していた。 「金融機関からの借入れや登記申請などを円滑に行うため法人化に踏みきった。その結果、商店街のほど近くで、約140坪の駐車場用地を取得し23台の共同駐車場を整備することができ、消費者や組合員の利便性は飛躍的に向上した」。理事長は、法人化の意義を説く。平成17年には、新たに隣接地約40坪を取得し、駐車場を増設。現在は、36台の駐車スペースを確保している。 多彩なイベントで地域交流を創出組合は共同駐車場の設置・管理を行うほか、販売促進事業として近隣商店街と連携し、イベントの開催なども積極的に行っている。 「毎年、7月の第3日曜日。商店街の主要道路を夕方5時から夜9時まで、車両の通行を禁止して“ほこてん祭”を開催している。夜店や子どもを対象としたアトラクションを行うことで、住民に商店街に足を運んでもらい、地域間交流を創出したいと考えている」と理事長は、地域交流を創出する組合活動を説く。 さらに、組合は、商工会が中心となって開催している“ イルミネーションフェスタ”にも参画している。これは、毎年12月1日から25日までの間、三ヶ日町の商店・事業所・個人住宅など至るところで、クリスマスムードを演出する多数のイルミネーション装飾を施すイベントである。市内外から多くの見物客が訪れる。 「組合でも、数年前からイルミネーションを購入し組合員に配布して商店の装飾を推進している。まだ、直接的に売上に結びついていないが、商店街に明るいムードや感動を演出することができ、イメージアップに役立っている」。理事長は、その効果を分析する。 連帯意識の高揚で課題を克服今、全国の多くの商店街で、車社会、郊外への大型店の進出、消費者の生活スタイルや意識の変化などを理由に、疲弊が生じており、厳しい経営環境に置かれている。 「当組合も多分にもれず、経営者の高齢化や後継者不足など数多くの課題を抱えている。しかし、長い間、借入金の返済や数多くの共同事業を一緒に行ってきたことで、組合員の連帯意識は高まり、課題を相互協力により解決・相談するなどの風潮が整ってきた」と理事長は、長年の組合活動の成果を述懐する。 商店街が果たす新しい役割これまで、多くの地域で発生していた店舗や住居、来街者の郊外流出などの状況が、人口減少社会に転じた今、インフラや地域コミュニティを維持する面などで、危惧されるようになった。 そうしたことなどから、平成18年に、「まちづくり三法」が改正され、都市機能の集約化による社会コストの抑制や、中心街のコミュニティ機能の強化などの推進が図られるようになった。 「商店街は、モノやサービスを提供するだけが仕事ではない。地域における歴史や文化の継承、地域住民の交流やネットワーク、福祉や防犯なども担っていかなければならない。これまでもそういう姿勢で取り組んできたし、今後もそうするつもりである」。理事長は、商店街の役割を力説する。 「組合の事務局は商工会が担ってくれており、事業実施上で大きな支えとなっている。今後も商工会をはじめ地域の組織や住民との連携を益々深めることにより、地域に根ざした商店街として活動していきたい」。理事長は、地域とのつながり強固の大切さを語った。
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