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視点・指導員の現場から

共同店舗の運営問題

核店舗撤退で存続の危機

平成19年8月、関東甲信越静ブロック中央会・指導員等研究会を静岡市で開催した。

本会の指導員をはじめ11都県から24名が参加し、(1)新たな設立に結びつく事例報告(高齢者の組合活用、地産地消の組合活動、その他の活性化組合)(2)組合運営問題への対応事例報告、(3)所属中央会の新規事業報告の3テーマに基づき報告があった。

この会議で、大変気掛りとなった組合運営問題の事例報告があった。

県外の共同店舗組合の運営問題事例であるが、報告者によると「某共同店舗組合では、核店舗の撤退に伴い数百万円の敷金返済要求に対応できず、共同店舗存続の危機に直面している。

当該店舗は、高度化資金を活用しているため、県金融担当と連携をはかり、弁護士や税理士のアドバイスを受けながら対応し、大変苦慮している」という報告であった。

「収支トントン」で突発的な事態に対応できますか?

この問題事例に対し意見や助言を求めたところ、参加者から、「共同店舗組合は、組合員は店子であり、大家である組合の出資者でもあるので、経営者として両者の経営意識をバランスよく求められるところであるが、現実的には、組合と組合員との利害が相反し、どちらかと言えば大家の組合より店子の要求が強くなる傾向にある。その意識が端的に現れるのが組合の収支計画である。借入金返済財源をなんとか捻出する収支トントンの収支計画であるため、突発的な運転資金への余裕金がない。その際、敷金を流用するケースがあっても、いつ撤退するのか分からないテナントへの敷金を捻出する利益計画を立てようとしない。その背景には、高度化資金の返済を完了すれば、その後、なんとか敷金を捻出できるとの考えが根底にあり、返済期間中のテナントの撤退への備えは甘い組合がある」

また、「組合員が負担した建設時の保証金に対しても同様の方針を示す組合がある」との指摘もあった。

異なる賦課金に対する考え

更に、この問題を生む要因について参加者から、「組合員間の業績の格差が生じ、組合の収支計画上、主要財源である賦課金に対する考え方までも業績により異なること。組合員である店子は、組合の出資者でもあるので共同店舗組合の運営に関する議決権を有していること。また、本来、敷金や保証金の返済財源は、利益の蓄積であるが、組合は利益を追求する組織ではない!などと理不尽な主張をする組合員がいること」などの意見があった。

静岡県内に組合や共同出資会社による共同店舗が約7団体ある。テナントの退店や組合員の脱退により存続の危機に陥ることがないよう万全な備えをしていることを期待したい。

(眞野美)