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特集

「中小企業地域資源活用プログラム」のあらまし

中小企業地域資源活用促進法 施行

(資料提供:中小企業庁)

農林水産品や産地の技術、自然・観光資源、伝統文化―。全国各地には、地域経済活性化につながる「資源」が多く眠っている。

しかし、そこで生活する我々には気づかないことが多いのも事実。

地域経済を支える中小企業が自らの足元を見直し、地域の「強み」となる地域資源を掘り起こし、磨く。こうした中小企業の先進的な取組みを強力に支援するため、国は「中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律」(中小企業地域資源活用促進法)を6月29日に施行した。

国では、5年間で1000件の新事業創出を目指す目標を掲げ、経済産業省をはじめ、総務省、国土交通省、農林水産省など6省連携の施策としても位置付けた。

同法にもとづく支援及び「中小企業地域資源活用プログラム」の効果的支援を行うため、専門相談窓口である「地域支援事務局」が全国10か所に設置されるなど、支援体制も着々と整いつつある。

特集では、活用プログラムの内容を中心に同法のあらましを紹介する。

「地域資源」とは

法では、地域産業資源=地域資源を(1)地域の特産物として相当程度認識されている農林水産物または鉱工業品、(2)特産物となる鉱工業品の生産にかかわる技術、(3)地域の観光資源として相当程度認識されているもの、の3点に定義付けている。いわば、地域の強みとなり得る特長的なもので、地域の中小企業らが活用可能なもの、ということができる。

その具体的な形は多岐にわたるが、重要なことは、それを広く活用することで、地域ブランド化など将来の事業展開が期待できることにある。

地域資源を活用した中小企業の取組みは大きく分けて(1)産地技術型、(2)農林水産型、(3)観光型の三類型を想定。

既に全国ではこれらに当てはまる地域資源を活用した取組みが動き始めている。

「これならうちでもやれる」がキーワードだ。

プログラムによる支援を受けるには

「中小企業地域資源活用プログラム」を具体化するための法が、6月29日に施行された「中小企業地域資源活用促進法」だ。

法で定める流れは、まず、国が具体的な支援の方針や中小企業の事業計画を認定する要件などを記した基本要件を策定。次に都道府県がそれぞれ基本構想を策定し、地域ごとに地域資源を具体的に指定する。都道府県の基本構想で指定された地域資源を活用して新商品や新サービスの開発を行う中小企業は、その事業計画が国に認定されれば、補助事業、政府系金融機関による低利融資など、各種支援メニューが用意される。

具体的には、8月にも都道府県が策定する「基本構想」の認定がスタートする見込みで、これを受けて、中小企業は事業計画(地域資源を活用し、新商品開発などを行う計画)を作成。早ければ、国は8〜9月にも認定を行う見通しだ。

認定のポイントは、事業計画における地域資源を活用方法に新規性があり、周辺の中小企業に波及効果が期待でき、同種の商品やサービスが普及していないこと。国内外への需要開拓が図られる見込みがあるなど、実現性の高い計画であることなどだ。

中小企業地域資源活用促進法に基づく支援のスキーム(拡大図を見る
施策の内容

(1)地域の強みを活かし、蓄積し、地域産業の競争力強化へ

  • 「地域資源の活用」。ソフト的な経営資源(技術、経営システム、ブランドなど「見えざる資源」)の蓄積も対象
  • 地域主体の取組みを応援。産学官連携、農工連携

(2)対象の拡大

  • 地域の強みとなる「地域資源の活用」を推進する企業(主として「産地技術型」、「農林水産型」、「観光資源型」の三類型)

(3)外部専門家と仕掛け人により、大都市市場・海外市場とのリンク

  • 顧客起点の事業展開、製造・販売一体展開
  • ハンズオン支援事務局(全国10か所に常駐アドバイザーの配置)の設置
  • マーケティング、デザイナー、販促の専門家や観光カリスマなど外部専門家の派遣
  • アンテナショップ、商談会。海外のトップ級国際見本市を目指す

(4)総合的なプログラムと強力な支援ツール

  • 法律、予算(政府案100億円)、設備投資減税、低利融資、ファンド等政策手段を総動員し、関係機関との大連携
  • ハンズオン支援事務局を活用した、きめ細かな継続的ソフト支援
  • 事業計画のブラッシュアップ・フォローアップまで行い、支援案件を成功まで導き、モデル例に
  • 地域中小企業応援ファンドの創設。5年間で2000億円程度の資金枠を確保