google

富士の叫び

BCP(事業継続計画)策定で災害への備えを

7月16日午前10時13分、新潟県中越沖を震源とする「震度6強」の地震が、新潟県柏崎市を中心に襲った。まだ記憶に新しい、平成16年10月の「新潟県中越地震」からわずか2年9ケ月しか経ていない今回の地震による被害は、日が経つにつれ大きなものとなっている。人的被害は、7月24日現在、死者11名、負傷者は1900名を超え、新潟県経済等に与えた被害見込み額は、1兆5千億円と甚大なものとなった。

被災された方々には心よりお見舞い申し上げるとともに、一刻も早い復旧とこれ以上被害が広がらないことを願うばかりである。

この地震で大きな問題を投げかけたのは、柏崎刈羽原発が火災や微量の放射能漏れなどにより、稼動を停止し再開のメドがたたないことと、柏崎市を中心に多くの企業が深刻な被害を受け、操業停止を余儀なくされたことである。ともに安全性や安心を100%確保することが当たり前であるにもかかわらず、建物等の耐震性や被害後の速やかな対応等への十分な体制が整っていなかった点で大きな課題を残した。このことは、浜岡原発や多くの企業群を有する本県にとっても教訓として真摯に受け止めなくてはならない。

本会では数年前から、企業が災害時の損害を最小限に抑え、早期復旧を可能にするBCP(事業継続計画)の策定を組合と組合員企業に推奨している。昨年度、本会が実施した実態調査の結果では、経営者が関与する大規模地震等の災害対応の本方針を8割以上の企業が定めておらず、かつ約4割が定める予定もないとの回答であった。また、約6割の経営者は危機管理に消極的であると答えている。小規模事業所ほどこれら傾向は顕著である。心胆を寒からしめる結果ではないだろうか。

高い確率で発生が想定される東海地震が本県を襲ったとき、こうした実態では想像を絶する大混乱に陥ることは、誰の目にも明らかである。

今からでも遅くはない。しかし、一刻も早くBCPを策定することを推奨したい。

静岡県中小企業団体中央会・会長 井上 光一