私は昭和の不況と云われた七年生れ、十五才から勤めて五〇年目となる。
運輸会社に四〇年、今の組合事務局に十年目となる。この間仕事以外の体験は少なく、海外は勿論、国内でも九州、北海道は未知の世界なのです。
しかし、そんな自分にも大きな転換期を迎えることになった。昨年暮れ三才年上の兄を胃ガンで失ったことである。曽って、志願で土浦航空隊に行き、終戦で死を免がれ、復員してから精一杯働いて、そろそろこれからの人生を楽しもうとしていた矢先、あまりにも残酷な死でした。
私はこのさまを見て、間もなく兄の年を迎えるにつれて、これからも現職のつもりで、国内は勿論のこと、海外にも積極的に出歩くことを、心に決めている。
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