皆さんこんにちは、情報部門の中小企業診断士加藤です。全八回の予定で、中小企業と情報化をテーマに、その取り組むべき課題と方向性について連載させていただきます。
まず今回取り上げるテーマは、コンピュータの「西暦2000年問題」です。
*西暦2000年問題とは
西暦2000年問題とは、西暦2000年になるとコンピュータが正しい日付表示を行うことができなくなって、誤った結果を生み出してしまうことが予想されるという問題のことです。なぜ、こんなことが発生する可能性があるのかというと、大概のコンピュータには内部に時計をもっていて、その時計の西暦年が「二けた」しかないことに起因しているのです。この問題を理解するために図解(図一)をしました。
(図1 西暦2000問題の本質)
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本来の日付→コンピュータ |
内部の日付
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年 月 日
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1999年12月31日
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→99 12 31
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1日繰り上がると西暦0年に
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戻ってしまった!!
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2000年01月01日
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→00 01 01
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図から明らかなように、西暦1999年12月31日から一日繰り上がって西暦2000年元日になると、西暦0年に戻ってしまうという問題が発生してしまいます。
*どんな問題が発生するのか
このような問題を放置するとどんな問題が発生するのでしょうか。まず、日付比較を正確に行うことが不可能になるため、在庫管理に誤りが発生したり、借入金利の計算にマイナスが発生したりします。また、データの並べ替えも不可能になって、最も年齢の若い人が「お年寄り」ということになってしまいます。
実は、アメリカでこの問題を発症したコンピュータが現れたという報告がありました。その金融機関では、金利システムに誤りが発生してしまい、本来徴収すべき顧客の利息がマイナスになってしまったことから、逆に数億円の支払いをしてしまったということです。
*見かけだけの結果にご注意
西暦2000年問題は、みかけの結果からは判断できないことがあるので注意が必要です。
なぜなら、本来、西暦年が二けたしかないのに、印刷のときだけ`19cを強制的に印刷しているケースがあるからです。このケースでは西暦2000年になると日付は1900年に戻ってしまいます。今年の二月に診断させていただいた、ある商店街のポイントカードシステムはこのタイプでした。また、「うちのコンピュータは和暦だから安心だ」というケースも要注意です。なぜなら、このケースでは西暦から`88cを差し引いて平成年を出しているからです。
いずれにしても西暦2000年まで三年を切りました。西暦2000年問題は長期ローンのように西暦2000年を挟むプログラムから発症することが予想されます。ぜひ、お早めに御社のコンピュータをチェックされることをお勧めいたします。 |