静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2008 April No.653 かあさんの真心こめて、地域特産品を販売企業組合竹の子かあさん
自然と文芸の香り溢れる伊豆天城伊豆・天城峠。川端康成の小説、「伊豆の踊子」など、数多くの文芸作品の舞台として、全国的に有名である。 天城山の急峻な地形と、切り立った崖、峠越えで尊い命を落とした人も少なくない。 日米修好通商条約を締結させ、初代駐日総領事として活躍した、米外交官ハリス。彼は著書の中で、下田から江戸への道中、峠越えの苦労を、克明に記している。 今では、峠にトンネルが開通し、道路も整備されたことで、緑豊かな自然環境や、温泉などを目当てに、毎年、数多くの観光客が、訪れるようになった。 竹の子かあさんプロジェクトって?この天城峠のある伊豆天城地区(旧天城湯ヶ島町・現伊豆市)は、自然の恵みを活かし、「わさび」「しいたけ」「たけのこ」などが、特産品として有名である。 こうした地域特産品の利用促進を図るため、昭和54年頃から農家の主婦を中心に、手作り加工品の研究や販売に取組む活動が、さかんに行われるようになった。 この活動は、「竹の子かあさんプロジェクト」と呼ばれ、四季折々の地域特産品を詰め合わせ、「竹の子かあさんの贈り物」として、全国各地に宅配する事業を行うまでに成長した。 旧天城湯ヶ島町では、こうした活動を更に拡げていくために、天城峠近くにある、道の駅「天城越え」の敷地内で、地域特産品を販売することを計画。農林水産省の補助事業を活用し、平成12年に、木造平屋建て、面積77.42m2の販売施設を完成させた。 町は、販売施設の運営を、このプロジェクトに要請した。 「店舗運営はリスクと責任を伴うため、なかなかやろうと言う者が現れなかった。ようやく、プロジェクトの有志が店舗運営を決断。不安だらけのスタートであったが、町の全面的な協力で、ここまでやってくることができた」と勝又理事長は、開設当時を振り返る。 責任体制の明確化で組合設立当初、店舗の運営は、プロジェクトの有志による任意組織で行ってきたが、食品衛生法の届出や、取引先との契約など、責任体制を明確化させる必要が生じた。 そこで、平成16年12月、組合員8人で、企業組合を設立した。組合は、町が建設した施設を借受け、地域特産品や、その場で調理した惣菜・菓子などを販売している。 しかし、道の駅を訪れる観光客から、「何を売っているのか良くわからない」「店内が暗い」などの声が聞かれるようになった。 平成17年、組合は中央会の助成事業を活用、店舗デザインの専門家を交え、検討会を重ねた。翌年、店舗のリニューアルを実施。店舗全面に、商品の案内看板を掲げたほか、スポットライトの設置や、店内の棚も木製に改装した。 「案内板の設置や、店内を明るく改装したことで、観光客の購買意欲も増幅し、売上も徐々に増加するようになった」。理事長は、リニューアルの効果を歓迎する。 好評!「しいたけ・わさび菜コロッケ」落ち着いた雰囲気が自慢の店内では、「わさび漬け」「しいたけ甘辛煮」などの地域特産品や、地元農家から委託を受けた、農産物・工芸品などを販売している。 また、「しいたけ・わさび菜コロッケ」「小麦まんじゅう」「山菜おこわ」など、地元の食材を使用し、店内で調理した惣菜・菓子なども販売している。 現在、一番の人気商品は、地元の“しいたけ”と“わさび菜”を100%使用した、2種類のコロッケである。多い時は、1日に600個を売上げるほど、好評を得ている。特に、わさび菜コロッケは、11月から5月までの期間限定で、珍しさも手伝い、マスコミや旅行雑誌に、数多く取り上げられているほどである。 「素朴でも、安心・安全で良質な食材を使い、丹精込めてつくることを心がけている。設立以来、組合員の息もピッタリ合い、これからも新しい味や店づくりを行い、天城ならではの特産品を発信していきたい」」と理事長は、意欲を語り、取材中も、旅行誌の取材要請に嬉しそうに応えていた。
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