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富士の叫び

地域経済を支える中小企業の大きな飛躍を期待する

桜前線の順調な北上とともに、いよいよ春本番を迎えた。この新たな年度の幕開けとは裏腹に、サブプライムローン問題に端を発した信用不安は、株安や大国アメリカの威信失墜を引起こし、結果としてドル安円高を呼び、景気を牽引してきた輸出産業に想定外の試練を突きつけている。原油価格の高騰も然りである。先行きに大きな不安を抱く企業が多い。

国民不在の議論無き国会運営も、先行き不透明感に拍車をかけており、その機能の低下ぶりは目を覆うばかりである。一刻も早く国民の目線に立った決着を望むものである。

さて、昨年度、本県で設立された組合は9組合にとどまり、本会始まって以来の低水準となった。

この20年来、企業の開業・廃業の関係は、廃業が開業を上回る「少産多死」の状態で推移しているが、組合もここにきて、解散数が設立数を上回る逆転現象が続いている。

この理由がどこにあるのか、いまいちど、その原因や背景をしっかりと検証し、新たな対応を図るよう事務局に指示したところである。

組合に係わる許認可についても大きな変化があった。静岡市、浜松市、沼津市、富士市の4市に加え、この4月1日から新たに三島市、焼津市、藤枝市、島田市、掛川市、袋井市、磐田市の7市に、県から所管事務などの権限が委譲された。

今後は、この地域での組合設立等の認可権や監督権については、市長が持つことになる。

元々、中小企業は地域行政との結びつきが強い。これを機に、行政との更なる連携強化を図るとともに、改めて地域固有の資源と知恵や工夫を活かし、地域社会が元気を取り戻すよう、多種多様で高い機能を有する組合が湧出することを期待したいものである。

年度当初にあたり、中小企業組合が地域経済を支える確固たる核となり、リーダーとなって、大きく飛躍することを強く期待する次第である。

静岡県中小企業団体中央会・会長 井上 光一