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革新企業

日本品質奨励賞品質革新賞を受賞
「品質向上に終わりなし」

株式会社シービーエム(浜松市)

所在地:浜松市中区西浅田1丁目9番地20号
TEL:053-441-1600
URL:http://www.cbm-j.co.jp/
代表者:金子憲治氏(代表取締役社長)
設立:1975年
資本金:5000万円
従業員:477名
所属:静岡県西部商工協同組合

 

金子啓樹代表取締役会長(左)と 神谷松治常務取締役品質管理室長。

浜松市中区にある本社社屋。

TQM、TPM、TQC…。製造業では、すっかりお馴染みとなった品質管理の手法だ。

浜松市で建物総合清掃管理業を中心に事業を展開する(株)シービーエムでは、これらの手法を清掃業務に取り入れた病院清掃の品質保証システム(HOSVIQ・ホスビック)を開発。昨年、日本品質奨励賞品質革新賞を受賞した。

同賞は、わが国のTQMやTPMの推進機関である(財)日本科学技術連盟が、競争力強化や品質経営の推進支援を目的に創設したもので、過去には東京電力などが受賞。今回、日産車体やコロナなど名だたる大企業と肩を並べ受賞するという快挙を遂げた。

昭和50年に設立された同社が、「ホスピタルサポート部」を立ち上げ、病院清掃業務に本格参入したのは、平成5年。翌年には、業界初となるISO(9002)の認証を得るなど、地歩を固めつつあった。

医療機関の清掃業務は、多くの患者が入・通院し、特殊な医療機器を揃える手術室なども対象となる。清掃従事者への院内感染防止も徹底しなければならないなど、同業者も敬遠する難易度の高い業務だ。

金子啓樹会長は参入当時をこう振り返る。

「従業員固有の技術や業務マニュアル、管理システムが個々に確立していたことに加え、作業標準に具体性はなく、仕上がりにバラツキがみられるなど、クレームが多く寄せられたのが実情だった」。

こうした反省を踏まえ、作業標準(VM・ヴィジュアル・マニュアル)づくりに着手。徹底的な検証の結果、従来の文字、イラストに静止画、さらにアニメーションや動画、ナレーションを組み合わせ、さらに「やるべきこととやってはいけないこと」を明確にすることで、ベストプラクティス(熟練者の技)を具体的なイメージとして作業員に伝えることが可能となった。

「このVMをパソコンに収め現場に持ち込むことで、いつでもどこでも、作業手順が手軽に反復確認できるので、作業効率や品質が飛躍的に向上した」と実務責任者の神谷松治常務取締役はその成果を語る。

特筆すべきは、これら全てが内製化されていることにある。

「VMの企画から撮影、実演、ナレーションに至るまで全て社員による『手づくり』。このため、現場での反省点や改善点をすぐにマニュアルに反映できる。業者任せではこうはいかない」と金子会長は胸を張る。
さらに、マナー品質向上のため、職場マナーやルール、感染対策、事故防止のための職場運営VMや個別要求VMも作成。

これらをQFD(品質機能展開法)の手法で有機的に結びつけることで、顧客要求の把握やコスト管理、品質向上など顧客が要求する品質の実現を可能にした。さらに従業員満足度や定着率の向上、経常利益の向上を含め経営面にも大きな成果をもたらす。

教育訓練や現場作業を通じて、業務改善の成果は日々更新、標準化される。

金子会長は言う。

「品質の向上に終わりはない。『HOSVIQ』にも完成はありません。常に進化しつづけているのです」。

「HOSVIQ(ホスビック)」の概念図。