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視点・指導員の現場から

「連携体」に問われるコーディネート力

産業振興の特効薬

昨年の10月31日、食品関連業界の振興を目的とする「静岡県食料産業クラスター協議会」が発足し、その事務局が本会に設置された。

農業や水産業などの一次産業から食品加工、流通業や販売、飲食・サービス業者の連携体であるクラスター(ぶどうの房の意味)を構築し、異分野との交流・連携を通して、新たな商品やサービスを開発していこうというものだ。

農水省主導のこの支援策は、17年度から開始。現在40の都道府県に同協議会が誕生している。「地産地消」や「食の安心安全」などをキーワードに、新たな市場の創出に大きな期待がかけられている。

こうした、クラスターやコンソーシアムといった「連携体」は、産業振興や地域振興の特効薬として位置づけられている。これによる支援策は、経済産業省や文部科学省でも先行して相次いで打ち出されてきており、静岡県でも東部・中部・西部でそれぞれファルマバレー、フーズ・サイエンズヒルズ、フォトンバレーという大規模なクラスターが活動している。

また、中小企業支援策の主流である「新連携」や「ものづくり高度化」さらには今年度の目玉事業である「地域資源起業化活用プログラム」などにおいても”連携“による新たな商品やサービスの創出が期待されている。

「調整型」より「牽引型」

連携は、今まさに流行ともいえる活性化のキーワードではあるが、さまざまな連携体において、共通の課題がある。それは、異なる複合資源を収集、マッチングさせ、ひとつの作品を作り上げていくことが果たしてできるのかという、すなわちコーディネートできる機能を連携体が有するかどうかという点である。

技術や製品知識を持ちマーケット分野にも精通。豊富なネットワークでこれらを複合させ、商品開発から製品化、販路開拓、市場化までを一貫してプロデュースし、成果のあがるプロジェクトをリードできるか。もっといえば、前段階として有効な連携を実現させるための仕掛けまでもができる機能が求められる。

さらに付け加えるならば、調整役としてよりもさらに一歩踏み込んだ「牽引型」のものでなくてはならないという点だ。

ひるがえってみると、実は、地域中小企業群をまとめる連携組織の先輩ともいえる中小企業組合にとっても、こうしたコーディネート機能が求められているのではないだろうか。新たな販路や市場開拓、新製品や新技術の開発、組合員にメリットのあるシステムの開発…まさしく組合がコーディネートできるかどうかが問われている点といえる。

むろん、中央会についても、中小企業施策の積極的活用を図るために、その機能を早急に発揮していかなければならない。

おりしも18年度、全国中央会で「中央会コーディネート活動推進事業委員会」に参画し、基本方針をまとめた委員の1人としてこれを実行すべく心を新たにしている。 (岸本)