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クローズアップインタビュー

静岡で34年ぶりの工業団地
バイタリティで異業種6社を牽引

アオイ・テクノパーク協同組合
理事長 杉本悦朗氏

旧静岡市では34年ぶりとなる工業団地、「アオイ・テクノパーク」が3月末に完成した。組合設立発起人代表、理事長として異業種6社を牽引してきたその表情にも、少しばかり安堵の笑みがこぼれる。

「行政や支援機関には感謝しています。ただ、団地に出たから安泰、商売繁盛という図式は成り立たない。そのメリットを各社の経営にどう結び付けていくか。ようやく、スタートに立ったというところです」。

工場適地を探す中、高度化資金による集団化事業にたどり着いた。

「0.95パーセントの低利・20年の固定金利で融資が受けられる。これを活用しない手はありません」。

高度化事業の診断では、各社が助言・指導を受け、乗り越えてきた。

「痛い助言もあった(笑)。しかし、客観的な指摘を受けることで冷静に自社の現状を見直し、より具体的な将来展望を描くことにつながった」。

今後、組合はマスメリットを追及し、原材料の共同購入のほか福利厚生事業などに取り組む考えだ。

「団地のメリット? 新設された工場で生産性が向上したが、何よりも社会的認知・信用度が増したことが大きい。取引先が広がった企業もある。共同事業も、実効あるものは積極的に取り入れていきたい」。

株式会社トップの社長。昭和40年、25歳で同社を設立し、一代でグループ70億円を売り上げる県内屈指の印刷会社を築いた。創業前は印刷会社の管理部門に勤務していたが、営業職へ転属した1年目から売上成績は断トツの1位。「たまたまだよ」と謙遜するが、逆境に屈しない強いバイタリティが身上だ。

昭和51年、トップは年商1億円の時代に、1億3千万円を投入し他社に先駆け輪転機を購入。自殺行為だと周囲を驚かせたが、これが飛躍のきっかけとなった。「設備があるところには仕事がくる。仮に当時、首都圏に拠点があれば、仕事は無尽蔵だったのに」と振り返る。

今回の団地進出にあたっても、迷うことなく最新鋭の機器を導入。その投資額は、土地・建物費用のおよそ1.5倍に上った。

営業品目は、チラシやカタログなど商業印刷が中心。近年は東京支店、名古屋営業所などを設け、大都市での受注強化に傾注する。

若いころから仕事人間かといえば、全く違った。トップ創業当時は、本人曰く「仕事そっちのけ」で自らも社会人野球に明け暮れた。同社が所属した静岡市の野球連盟では、全国レベルの静ガスと肩を並べたほどだ。

趣味はゴルフで、目下、ハンディは10。目標は、もちろんシングルだが「壁は厚いよ」と笑う。