静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2006 September No.634 宿場町の活気をとり戻せ
|
旧東海道沿いに栄えた商店街「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ」と詠われ、東海道一の難所として知られる大井川。その東岸に位置する島田市は、東海道23番目の宿場として栄え、長雨による川留めの際は、渡渉できない旅人が宿場に溢れ、対岸の金谷宿とともに、さながら江戸のような賑わいを見せたという。 こうして、自然に形成された商店街は、旧東海道に沿い1キロに及ぶ。そのほぼ中央に位置する三商店会が、共同駐車場の設置を目的に法人化したのが当組合だ。設立は昭和43年。以降、国の高度化資金等を活用し、アーチアーケードや街路灯の設置、カラー舗装化など商店街の環境整備に次々と着手。昭和50年代には、全国展開を図る大型店2店舗が中心市街地に相次ぎ出店。組合ではこれに合わせ、共同駐車場を立体化し、増える来街者への対応を図った。 「駅前と商店街に大型店が進出したことで、新たな人の流れが生まれた。かつての江戸の賑わいとまではいきませんが、商店街も大いに活気溢れました」。 江戸時代は旅籠を営み、先々代が興した金物店を経て、現在はギフトショップを経営する甲賀昭七郎理事長は、大型店が商店街にもたらした集客の効果を語る。 組合中心でまちづくり会社を設立しかし、バブル景気終焉後、大型店が相次ぎ撤退。さらに大規模な土地区画整理事業を機に、組合員の移転や廃業が進むなど、商店街は大きな転機を迎えた。 商店街の歯抜け状態も深刻になっていた。このままではいけない、とその対策を検討していたところ、市街地の整備や商業の活性化等を目的とする中心市街地活性化法が平成10年に施行された。この法の支援を受けるため、組合が音頭をとり、平成11年に株式会社まちづくり島田を設立したのです」。 甲賀理事長は、同社の取締役にも就任。組織を超えて、中心市街地活性化の方策を講じる。 同社は、翌12年に県内第1号となる「TMO(中心市街地活性化に取り組むための街づくり機関)の認定を受けた。 また組合は続く13年、老朽化した共同駐車場の建て替えのため、まちづくり会社などともに、優良建築物等整備事業や高度化資金等を利用し、6階建て、187台収容の駐車場(愛称ぴ〜ファイブ)を建設。事務局をここに置くなど新たな拠点が誕生した。 |
「悪口」? コンテスト施設は整いつつある。しかし、まちに活気をとり戻すためには、話題づくりや賑わいの創出が欠かせない。その試みのひとつが「愛するあなたへの悪口コンテスト」だ。 江戸時代、ある代官が稲荷祭りの日に限り、代官に物申すことを許したことにちなみ、人々はこの稲荷を「風刺(悪口)稲荷」と親しみを込め呼んだ。これにヒントを得て、平成17年、言いたいことが言えない、ケンカしたが仲直りしたいなどの思いを「悪口」に託し、相手に伝えるコンテストを始めた。 開催2回目にして、全国から3,000通近い作品が寄せられるヒット企画となった。審査委員長は、本県に縁が深く、その趣旨に賛同する直木賞作家 村松友視 氏が務める。 「あなた その一言が 足りないの 妻よ その一言が多いのだ」。 今年度の入賞作品のひとつだ。 「応募作品は冊子としてまとめたり、ホームページで公開しています。しかし、もっと地域に浸透させたいと考え、直筆の入選作を市内の飲食店に配布。次の入選作が決定するまで、掲示してもらっています。食事を待つ客が熱心に眺めたり、応募の問い合わせが寄せられるなど、関心は確実に高まっています」と理事長は手ごたえを感じる。 ここで6年前から「しまだ元気市」が毎月欠かさず開催される。 市内をはじめ、県内各地から出店があり、その商品もお茶、干物、ヤマメ、味噌、醤油など農産物を中心に多彩だ。行列のできる「元気市名物店」もあるという。 これらイベントの意義について理事長は語る。「現在、空き店舗となっている大型店跡地。この再生なくして、商店街の活性化は望めません。そのためには、ここに出たいと思わせる魅力がなければならない。その仕掛けが悪口コンテストであり、元気市なのです」。 |
|
中小企業静岡(2006年9月号 No.634) |
静岡県中小企業団体中央会
〒420-0853 静岡県静岡市葵区追手町44-1
TEL 054-254-1511FAX 054-255-0673 Copyright © 2006 Shizuoka Chuokai All Rights Reserved. |