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 その動きは早かった。
 平成十三年五月、同組合の第五代理事長に就任するや群審査(グループ審査)によるISOの共同認証取得のメリットに着目。理事会の承認を得た十五年四月、組合員九社と組合事務局が共同認証事業に着手し、翌年六月には『ISO14001審査登録証』を手にした。
 組合事業としては、県内初の快挙。全国をみても前例は少ない。
 「ISOが組合事業の活力向上につながるのでは」。そんな読みが的中し、現在、先発九社に続き第二グループ十社が挑戦中で、この九月には次なる第三グループ八社がキックオフ宣言をする予定だ。
 「メリットは、一社で数百万円かかる費用をグループで取り組めば大幅に低減できる点。ISOの認証をとるために、新たに二社が組合加入を申し出ているほど」と成果に手ごたえを感じている。
 群審査は、親企業の関連会社である東芝機械環境センターからの助言がキッカケだった。以前より、環境問題への対応は避けて通れない道、と認識を強めていたこともあって一瞬の躊躇もなく自身の腹を決めた。

環境ISOグループ認証で 
組合の新たな可能性引き出す
 
     クローズアップインタビュー 
東芝機械協力協同組合 
理事長 
小笠原一夫 氏 

 「と同時に、うちの組合ならいけると確信した。気心の知れた青年部の多くが今や社長であり、組合理事として活躍している。目標に向け結束する土壌はできている」
 自ら先発組の一社として群審査に臨んだが、プレッシャーは予想以上のものだった。毎週月曜日に社長たち自ら組合へ足を運び勉強会を開催。会社へ戻ってからは環境負荷を洗い出し、法への適用を整理する。そうした悪戦苦闘の日々が続いた。
 「群審査というのは、一社が落ちこぼれたら他社も全員アウト。誰も自分が足を引っ張ることはしたくない一心で、競争意識を持ちながらレベルアップを図れたのではないか」。
 ISOの効果は、親会社からの格付けアップに終わらない。各社の名詞や営業車両などに施された認証マークは社員の向上心を促し、活動を通じて培われた協調性は企業内に一層の活力をもたらした。
 昭和五三年、三六歳で母親から宇徳通運の社長を引き継ぐ。この時期、沼津青年会議所の理事長として活躍するなど、若くして奉仕の心と強い実践力が養われた。
 中学・高校では卓球、大学時代はスキーに没頭した根っからのスポーツマン。「ゴルフ?かつてはシングルの腕前だったけどね」と笑う。
 最近ではモダンジャズの鑑賞や読書を日課とするなど、旺盛な好奇心は衰え知らずだ。




中小企業静岡(2005年8月号No.621)