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税 務 
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平成17年度 税制改正と中小企業等への影響

公認会計士 青木隆知 
〒420‐0816 静岡市葵区沓谷6-17-1 パナハイツ沓谷101 
TEL:054-264-6530 
FAX:054-264-6531 



平成十七年度税制改正の主な改正事項について解説して下さい。また、この中で中小企業等への影響も併せて教えて下さい。


四月一日より、平成十七年度の税制改正が施行されました。前回の改正から引き続き三位一体の改革として国から地方への税源移譲が改正の趣旨を成しています。全般的には中小法人側からは小幅な改正となっており、個人所得税関係の改正関係の影響の方がより身近な問題となっています。

 法人税関係


人的投資促進税制

 三年間の時限立法措置として教育訓練費の平均額が一定額を超える場合には、その超える部分の二五%相当額の税額控除を、当期の法人税額の一〇%の範囲内で認める制度です。教育投資費用が恒常的に増加していく中小企業にとっては、この制度の受けるメリットはかなりあるものと思われます。組合員の教育情報活動が柱の一つである事業協同組合にとっては、今後の有効活用が期待されます。実務的には対象費用や対象者の範囲など、解釈適用上の留意点もあります。申告納税後に税務調査等により見解が分かれて否認された場合などは税額への影響も大きいため、慎重な対策と実施適用が必要です。
中小企業基盤強化税制
 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の制定に伴い経営革新計画、新分野開拓計画等のために取得する機械装置が追加されました。この制度は七%の税額控除又は三〇%の特別償却を行うことができる制度です。
エンジェル税制の延長
 特定中小会社が発行した株式に係る譲渡所得の課税の特例が二年延長されています。ベンチャー企業の創業時における資金調達の円滑化に資するもので、この延長により景気への刺激が期待されています。
中小企業者等の留保金課税の特例
 経営革新計画承認企業は、平成十九年三月までは留保金課税が停止されることになりました。
 留保金課税の停止要件が変わったことにより、税負担が軽減される対象企業が増えたものと思います。
 留保金課税は同族会社が、決算時点で利益の一部を内部留保した場合の一定額以上の部分について、通常の法人税とは別に課税される制度ですが、内部留保が必要な創設間もないない中小企業等にとっては、資本充実のためには有用な制度です。
企業再生円滑化税制
 民事再生法等の法的整理または、私的整理が行われた場合の期限切れ繰越欠損金と資産の評価損益、債務免除益との相殺規定が新たにできることとなりました。従来の制度では、会社更生法において同様の取扱が認められていましたので、新たに適用範囲が拡大しました。この適用に当っては、「適正な資産評価に基づく貸借対照表を基礎として」等一定の要件が付されています。
その他
(1)保険会社等の異常危険準備金制度について火災保険等に係る特例積立率を三%から四%に引き上げられました。
(2)協同組合等の貸倒引当金の繰入特例制度の適用期限が二年間延長されています。
貸倒引当金の法定繰入率の計算上の限度額の十六%増での計算ができる制度です。



中小企業静岡(2005年5月号No.618)