特 集 
 多士済済 
 視 点 
 ネットワーク 
 編集室便り 



指導員の現場から

「スモール」から
「ビッグ」ビジネスへ
連携促進でSOHOの
ステップアップを




成功の鍵は人的ネットワーク

 今年二月、全国の優秀な起業家などの挑戦を支援する「ジャパン・ベンチャー・アワード2004」が東京都で開催された。当日は、起業家支援部門において「SOHOしずおか」インキュベーション・マネージャーの小出宗昭さんが最高賞にあたる経済産業大臣表彰を受賞した。
 本会は、平成十六年から静岡県SOHO振興協議会(神谷聰一郎会長)の事務局を受託している関係から、 「SOHOしずおか」とは共に創業支援・中小企業振興に取り組む良きパートナーとして活動を続けており、今回の受賞は我がことのように喜ばしく名誉なことと感じている。
 「SOHOしずおか」は静岡県と静岡市が主体となって設置した起業家支援施設で、静岡市の中心市街地にその拠点を置く。約三坪の貸しブースが十三部屋あり、将来の夢をもつ起業家で満室の状態だ。小出マネージャーは、この施設を軸とし、起業家や中小企業の支援に人一倍の情熱を注ぐ。
 「SOHOしずおか」が成功した大きな理由の一つは、巨大な人的ネットワークを構築したことである。
 IT社会により情報の共有化やスピード化などの面が便利になった反面、人々が触れ合う機会が失われるようになってきた。特に、会社を離れ少人数で仕事を行うSOHOは孤独な立場に置かれている。そこで、「SOHOしずおか」が行ったことは、アロマテラピー教室などビジネスに直接関係なく、誰でも気軽に立ち寄ることのできるイベントを継続的に開催したことである。
 その結果、人の流れを「SOHOしずおか」に呼び込み、多くの人が集まることでビジネスチャンスを拡大。成功事例が生まれることで、また人が集まるという相乗効果を導き出した。

SOHO事業者の組合設立も

 SOHO(ソーホー)とはSmall Office Home Officeの略で、自身のスキルやキャリア・アイデアを生かし自宅や小規模なオフィス形態で仕事を行う就業スタイルをさす。
 インターネットを中心としたITの発展や国の創業・ベンチャー支援(最低資本金規制の特例など)により、今やわが国労働力人口の約五分の一がSOHOであると言われている。
 もはやSOHOは特別な就業スタイルでなくなっている。卓越した技能を持ち、組織に縛られないSOHOと組合や中小企業が連携を深めていくことで、新たな可能性を創出することができるのではないだろうか。既に、SOHOと地域産業との成功事例は枚挙にいとまがないほど生まれている。富士市吉原では商店街組合とSOHOが連携し、これまでにない様々なイベントを展開している。
 「SOHOしずおか」の成功により静岡県は、今や全国で最も起業しやすい地域として、熱い注目を集めている。
 近年、SOHO事業者が組合を設立し活躍の場を広げる事例も出てきており、今後、新たな連携の形を模索しながら「ビッグ」ビジネスへの成長をお手伝いしていきたい。

(鈴木充)



中小企業静岡(2005年5月号No.618)