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大いなる志と勇気をもって改革に挑む

 平成の市町村大合併が全国各地で進んでいる。期待や不安、一部には混乱を見せながらも、合併特例法が期限を迎えた先月末までに三一七市町村が誕生し、三、二三二あった市町村は来春までには一、八二〇前後にまで減る見込みだ。県内では、四月一日には五市一町が生まれ、かつての七四市町村から五七市町村へと四分の三に減少した。
 新聞社の自治体アンケートでは、合併目的のトップは「体力を強化し地方分権の受け皿づくり」で、首長の九割は「合併してよかった」という。
 こうした合併に伴う社会変化は今後、地域経済はじめ様々な分野に大きな影響を与えるだろう。また、地方分権により地域の商工行政と組合の関係が一気に縮まることにもなる。さらに、行財政改革がすすみ、官から民間に任せるようなシステムづくりにおける組合の役割や地域振興へのリーダーシップが大きく期待されるところだ。
 一方で、合併により地区が重なることになる組合などでは、連携や合併を検討するケースも出てくるだろう。光と影が交差し様々な課題が生まれてこようが、つきつめれば合併という手段を利用して、市町村がどう飛躍し発展していくかが重要なのであり、もちろんその経済や労働を支える中小企業の活性化や組合の機能強化は欠かせない。
 最近、放送やIT業界の買収劇でも話題となっているM&A(企業の合併・買収)は、資本主義経済の中で企業価値を高めていく重要な経営戦略の一つである。市町村合併も価値を高めようとすることでは同様で、編入側と吸収側の受け止め方の違いや異なる歴史・風土の壁を超えて、地方分権思想のもとで新しい価値を生み出していこうというのが目標だ。その将来を決定していく主人公は、行政や市民そして企業や組合など全ての当事者である。連携の強化・再構築を図りそれぞれの価値を高めつつ、地域や県境・国境を越えて押し寄せる荒波を乗り越えていこうではないか。
 今年度、中央会は大いなる志と勇気をもって、こうしたテーマに挑戦していく所存である。

静岡県中小企業団体中央会・会長



中小企業静岡(2005年5月号No.618)