特 集 
 多士済済 
 視 点 
 ネットワーク 
 編集室便り 




 「団地には組合員三二社、千三百人従業員が働いているが、現在の団地建物の多くは、昭和五六年改正の耐震基準を満たしていない。大地震に備え早急に手を打たなければ」。
 東海地震の発生が懸念される中、昨年、同組合は活路開拓調査事業で、「災害時の危機管理システム構築」の研究を行った。今年一月には自主防災組織を立ち上げるなど、ビジョンの早期具現化に指揮を振るう。
「まずは、人命第一。そのためには工場の耐震強化はもちろん、機械の横転や危険物の落下対策など、できうる限りの措置を講じたい」と各社に建物の耐震診断・補強工事の実施を呼びかける。
 今回、組合は新たな避難誘導マップを作成した。これまでは、隣接する野球場を避難場所と決めていたが、津波に対しては、二階建ての組合員工場に避難することが現実的な選択肢と判断したためである。
「旧来の慣行や機能しない防災システムなら意味がない」とアクションプログラムの実効性を強調する。

工業団地の防災組織を立ち上げ 
ビジョン具現化を指揮する
 
     クローズアップインタビュー 
富士市浮島工業団地協同組合 
理事長 
杉山 清 氏 

 従業員の幸せを第一に。これが団地発足以来、一貫して追求してきたテーマである。昭和四七年、四二歳のとき、製造業の近代化、労働環境の改善を目的に工場団地の建設を働きかけた。昭和五一年に当団地が完成して以来、副理事長、総務委員長の要職に就き団地運営の基盤づくりに注力。理事長に就いた平成二年当時は、高度化融資など団地建設資金の償還終了直後でもあり、組合の求心力低下を防ぐのに苦心もした。就任直後から賦課金軽減を敢行したのは、そこに理由がある。
「徐々に軽減し、四年目にゼロとした。組合職員の給与などは電気、駐車場、水道など組合事業収益で賄い、なおかつ、毎年安定した利用分量配当もできるまでになった。これも、組合職員が頑張ってくれたおかげ」。
 組合設立以来三一年、一度も理事会を欠席したことがない。
「重要案件がなくても、理事会に出て、コミュニケーションを図る。企業も組合も、突き詰めれば日頃からの人間関係ですから」。
 本業では、量産小物から大型鋳造品まで手がける鋳物業界の重鎮。創業者である父親から家業を継ぐや新技術・最新機械を同業他社に先駆け積極導入し、販路を全国に伸ばした。
 政策研究大学院大学の橋本久義教授とは二十年の知己。教授の主宰する異業種交流会では、会長としてリーダーシップを遺憾なく発揮する。
 最近は健康に留意し、ヒマを見つけてはウォーキングに精を出す。




中小企業静岡(2005年5月号No.618)