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 指導員の現場から
求められる
コーディネート機能の強化




頑張る町工場

 町工場から人工衛星の打ち上げを・・「まいど1号」のテレビCMで有名な東大阪市。
 ここに山本光学(株)という中小企業がある。同社は『SWANS』ブランドで高精度レンズを採用したスポーツグラスやスキー・スイミングゴーグルを制作する新進企業である。また、アテネオリンピックで金メダルをとった野口みずきさんが当社製のサングラスを着用していたことでも有名だ。オーエッチ工業(株)のように、工業用ハンマー製造のシェア六割を占め、トヨタ車の純正部品として自社ブランドでハンマーの納入を行う企業もあります。 
 このように東大阪市は、多くの工場が立地し、高度な分業を営み、個々の企業が専門化して高い技術を地域全体として保有しているところに特徴がある。
 一方、東京都大田区も工場集積地域として、あまりにも有名だ。工場数のうち八割強が機械金属業種という、極端に特化した工業集積地といえる。その多くは、試作や特注品の加工など典型的な少量多品種生産を得意とし、高精度・高難度の注文に対処する企業が多いことでも知られている。

公的支援は不可欠!

 機械金属工業関連組合の連合会事務局を担当させていただく中で、業界はここ数年、生産拠点の海外移転による空洞化、受注量の激減、受注単価の削減等の深刻な状況に直面している。
 実は、こうした状況を打開するため、当連合会で視察したのが前述の二つの先進地である。
 これらに共通するのは、中小企業と共に府や市、商工会議所等により設置された支援施設が存在することである。新たな事業創出に取組む事業者を支援・育成する公的賃貸施設の設置のほか、情報や交流の場を提供するなど、企業を側面からサポートしている。
 こうした実態をみると行政主導によるタイムリーな産業育成施策が必要だと、改めて認識させられる。

コンダクターからコーディネーターへ

 東大阪市、東京都大田区のように静岡市でも昨年九月、大学・企業・経済団体・産業支援団体などのネットワークを構築し、産学官連携による企業人の創出・育成を目的とする静岡市産学交流センターが開設した。この支援サービスの中には、静岡大学イノベーション共同研究センターも含めた出張技術相談も開始されるなど、交流センターの今後の活動に当連合会としても注目している。
 これまでは、業界や組合をいかにより良い方向に進めていくか、引っ張っていくかが重要な支援テーマであったとされる。しかし、混迷する現代にあっては、いかに合理的にヒト・モノ・カネをセレクトしていくか。また、それを繋いでいくかが、勝ち残るためのポイントになると思われる。
 地域産業の発展のためには企業のガンバリだけでなく公的支援とともに大学等との新たな連携は最重要だ。これらを効果的にコーディネイトしていくためには、情報収集と人脈の蓄積・整理など、基本への回帰が必要だ。
(吉田一)



中小企業静岡(2005年2月号No.615)