経営力の強化をめざし設立
掛川警察署から少し東に位置する国道一号線沿い、組合が四月から運営を始めた美容師養成施設「静岡アルス美容学校」。
その実習室で、技術の向上のため、カットウィッグを使ってカットやワインディングの実習に取り組む二九名の一期生。
その誰もが資格取得をめざす真剣な眼差しに満ちている・・・。
…昨今の消費者による理美容店の選択は、住まいの近くでという距離的な理由ではなく、ファッション感覚やその技術、価格といった基準でなされるのが主流。今や理美容業界の経営は人材の確保・育成はもちろん、ファッション感覚を持ったコンサルティング力、経営ノウハウの充実等が必要とされている。
このため浜松〜相良地区で理美容店舗を経営する十一事業者は(1)ファッション感覚の向上を目的とした技能の実習は各々が会員となっている職業訓練法人(2)店舗経営力の強化を図るための事業は組合で・・・と区分け。
ハサミ、シャンプー・リンス、カットウィッグ等の共同購入で消耗品等の単価を低減し、厳しい競争下でも収益を確保すること。共同労務管理により優良な人材を確保すること。各種研修により経営コンサルティング力を強化すること等を目的に平成十三年六月、組合を設立した。
法改正で養成学校を開設
こうした中、平成十四年四月の美容師法改正に伴い特例措置が廃止となり、今まで可能だった店舗での無資格者の美容業務が禁止となった。清掃やタオルの洗濯など、雑用に限定される新卒従業員を雇用しにくくなったことから、将来的な人材不足が危惧される状況となった。
そのため組合では、各店舗採用の無資格従業員を対象とした美容師養成講座を開設。共同事業として定員四〇名・二年制の美容師養成施設(美容学校)の運営をスタートした。
久保田理事長は「設立時点では養成学校の運営までは考えていなかった。法改正により、優良な従業員を確保するには、人材を育てる学校が必要と判断。ゆとり教育では真の技術者は育ちません。他の学校とは一味違う、現場重視の教育。サロンで求められる美容師を育てることが目的」という。