富士の叫び 
 特 集 
 レポート 
 「くみあい百景」 
 ワンポイント 
 編集室だより 



指導員の現場から
支援策の有効活用に向けて



 最近の新聞を見ていると、「今年度は過去最高の売上高になりそうだ」「計画を上方修正する」といった大手企業の記事を目にすることが多くなった。
 しかし、中小企業経営者等からは、『景気がよいのは大企業だけで、まだまだ中小零細企業は大変厳しいのが実情だ!』とのお話しを聞くことが多い。その反面、経営者が涙ぐましい努力を行い、がんばっている中小企業も多数あり、当然に素晴らしい実績を上げている企業でもある。
 組合の現状は、同業種組合等の中では組合員間の格差は広がる一方で、後継者がいない、将来的展望が見い出せないために組合を脱退する組合員が目立ちはじめ、最終的には組合員の減少により組合存続の危機を迎えている組合もある。
 ところで、成績のよい企業と活発な事業を展開している組合はなにが違うのか考えてみた。
 徹底的なコストダウンを行い、売上げと利益確保を図っているのは当然で、プラス中小企業施策をうまく活用し、効率的な経営を行っている経営者でもある。
そのためには、我々のような団体より絶えず情報を収集し、うまく活用し経営に役立てている。
 また、補助金等の支援を上手に活用される企業もある。しかし、最近の補助金は、従来の補助金のように一〇〇%補助であるものは少なく、補助率は2/3、1/2と徐々に厳しくなってきており、自己資金が拠出できなければ補助金の活用ができなくなっているのも現状である。この自己資金が拠出できる組合でしか補助が受けられなくなってきている。また、当然ではあるが補助金を利用するから直接的成果、効果が求められるため、実施後すぐに成果が上がる事業を実施する組合が支援を受けられるのが実態でもある。
 このままでは、絶えず補助金等の支援を受けられる組合・企業とまったく支援を受けられない組合・企業に二極分化し、本来、積極的に中央会が指導しなければならない業界にさえ支援することが難しい時代に入ってきてしまっていることを最近感じることもある。
 しかし、支援策が厳しくなっているものばかりではない。経営革新をバックアップするため、県が積極的に進めている施策の中に中小企業経営革新支援法があり、現在中央会でも申請指導の窓口となっている。
 他にも利用者サイドに立ち制度の見直しがされている支援策も数多くある。
 組合が進むべき方向、事業に合わせ、また、組合員企業の現状に合わせ、中央会を上手に活用・相談しながら組合にとって何が必要な支援なのか探求することが必要である。
 組合の本来の目的は、組合員の相互扶助の精神であり、組合員のために組合が事業を実施することが組合の原点である。
 組合員のためにいかに情報力確保を図れるか、組合員の信用力アップに組合がいかに貢献できるかが今後の組合存続のキーポイントの一つではないだろうか。
(深井)



中小企業静岡(2003年12月号 No.601)