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新設組合の一割以上は環境関連目的

 最近十年間の設立組合の中から、環境問題を主事業に据えた組合をあげてみた。(設立当初の概要を記載・八ページ参照)
 やはり、目立つのは廃棄物処理に係るものだが、埋め立て処分場の比率が徐々に減り、リサイクル中心に移行しているのがわかる。
 研究開発に係るものは、十年前は丁度、融合化施策がスタートしたときでもあり、ほとんどがその支援を受けながら展開している。
 こうした組合の中から、各家庭から回収される空びんのガラスくずを再利用した、人工大理石『GIRA(ギラ)ストーン』(静岡市・ミラクル開発事業協組)、一年間に一億本近く発生する廃タイヤのチップを原料にした公園施設製品(動物をかたどった公園遊具、ベンチ、駐車場の車止め他、小山町・公園施設開発事業協組)等、マスコミなどでも取り上げられた商品が開発された。
 ただ、商品化にこぎつけた組合も「展示会での評価は高いが、営業成績との開きは大きい」(組合関係者)と異口同音に語るのが気になるところ。「流通ルートとコスト面の課題は残る」(同)。


  ▲袋井市建設残土再生事業(協)の再生プラント。
  完成までに市の協力は欠かせなかった。



 そして、共同受注。容器包装リサイクル法をにらみ、缶・ペットボトルの回収業務の受託をねらったもの、自然環境復元(ビオトープ)などの環境に係るコンサルタント業務などニュービジネスとしての取り組みも目につく。ただ、これら組
合組織を通しての新市場への進出の背景には、今後の有望市場といわれる環境ビジネスに大手が進出・流入してくることへの危機感もあるようだ。
 もちろん、こうした環境関連事業をメインとして設立された組合がすべて掲載のような所期の目的を達成出来たわけではない。事例集では成功ケースばかりが取り上げられがちだが、共同受注や研究開発への挑戦は続き、特に建設残土や各種廃棄物の処理・リサイクル施設については、地元住民の反対などにより建設が進まないものが約半数。中には操業後も中止を求められているものもある。
 個別の状況については、支障があるため、掲載を控えさせていただくが、環境問題の難しさを痛感させられる。なお、一覧には掲載していないが、当然、工業団地も公害・環境問題との関わりが深く、これらも含めるとこの十年間の新設組合(平均三三組合)の一割以上は環境問題対応型といってもよかろう。そして、その率は近年徐々にアップしている。


リサイクル関連法体制の変換


1960年代 産業公害多発
1967年  「公害対策基本法」施行
1968年  「大気汚染防止法」「騒音規制法」制定
1970年  「水質汚濁法」制定
1971年  環境庁設立
1971年  「土壌汚濁防止法」「悪臭防止法」制定
1971年  「廃棄物処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)施行
      産業廃棄物と一般廃棄物に定義分け.産業廃棄物は事業者の責任となり
      一般廃棄物については市町村の義務責任と処理責任を明確化.
1972年  「自然環境保全法」制定
1988年  「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」(オゾン層保護法)制定
1991年  「廃棄物処理法」改正
      廃棄物処理に関して「再生」という考え方が新たに含まれた.
1991年  「再生資源の利用の促進に関する法律」(リサイクル法)施行
      1. 再生資源の利用促進に関する基本方針
      2. 関係者の責務
      3. 事業者に関する個別の措置(特定業種や第1種指定製品などについて政令による指定)
      の3つの柱から成り立ち、再生資源の利用または利用の促進に関する事業者の努力を最大限に
      引き出すことを趣旨としている.特に関係者の責務として、メーカーが製品を設計する際
      使用後にリサイクルが容易になるよう、構造・材質・製法などの工夫をするように求めたことは
      大きな意味を持つ.
1993年  「エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法」
      (省エネ・リサイクル支援法)施行
      廃棄物問題や地球温暖化問題などに対応した事業者の自主的な取り組みを支援.
      支援対象として、リサイクル対策、省エネルギー対策、特定フロンなどの使用合理化対策の
      3つに大きく分かれている.
1993年  「環境基本法」成立
      公害対策基本法(1967年)と自然環境保全法(1972年)の見直し、総合的かつ計画な環境保全
      の推進、環境政策の体系化
1995年  「容器包装リサイクル法」制定
      市町村が収集したごみのリサイクルは、これまで原則として市町村の負担で行われてきたが
      同法は容器包装について、消費者、市町村、事業者のそれぞれが責任を分担することにより
      それぞれがごみの排出抑制、リサイクルの推進に積極的に取り組む社会システムの構築を
      目差している.97年4月施行.


中小企業静岡(1998年 9月号 No.538)