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「商店街」




「商店街イベントのマンネリ化防止策」
 
顧客志向徹底による継続のポイント
 
遠州 ひと・みせ・まちづくり研究所代表      

中小企業診断士             
社会保険労務士  
江 間 範 明

 浜松市東伊場1-16-11
TEL/FAX 053-454-2823
E-mail:n-ema@orange.ne.jp



■商店街活性化の切り札として、私どもの商店街ではイベント事業に力を入れてきました。
 しかし、最初は勢いがよかったイベントもだんだんマンネリ化してきて、ネタ切れ、しりつぼみ状態で、このまま続けるのが難しくなってきました。
 イベント継続のポイントを教えてください。


■イベントの原点は顧客志向

 
世の中、「もの」以上に「こと」が求められる時代になっています。イベントは、行事というよりも祭りのイメージがあります。そもそも祭りは、もちろん宗教的儀式でしたが人々にとっても、「ハレ」の日とか「縁日」に象徴されるように、「非日常」の時間・空間でした。人々は、日頃の拘束や緊張から解放され、いわゆるガス抜きすることが許される限られたひとときでした。
 さまざまなレジャーが充満する現代にあっても、イベントというと何か心くすぐられる遺伝子は、人々に密かに受け継がれていると思われます。
 自然型、歴史文化型、参加型、チャリティ型、商店街のPR演出型、売出し型と形は変われども、まずは、イベントをその地域の人々がどうとらえているかという原点に立ち返って考え直してみることが必要です。イベントも企業経営と同様、顧客志向が大切です。

■商店街イベントの問題点


 さて、商店街の活性化において、イベントは、ハード・ソフト・ヒューマンそして個店といった切り口のうち、ソフト及びヒューマンにおいて不可欠の要素となっております。
 全振連登録商店街振興組合のアンケートによれば、七五%から九〇%の商店街が、イベントによる集客効果ありと応えているものの内容、方法、人及び金のそれぞれの面において、次のような問題を抱え、特にマンネリ化が最大の問題となっています。

■マンネリ化防止策―成功事例の共通要素

 マンネリ化防止の方法に、商店街活性化と同様、特効薬はありませんし、各々の商店街の状況が大きく異なるため、一概にはいえませんが、商店街イベントにおいて比較的成功している全国の商店街の事例から、共通する成功要素として、次のようなことが考えられます。
 裏返せば、それらの成功要素の実行・実現が、対策になると思われます。

 まず、まちづくりやイベント事業の成功に必要な次のような基本要素が満たされているかということです。

 1. メンバーの熱意・やる気(動機づけ)
 2. 住民を含めた共通認識とビジョン(夢)
 3. 状況対応型リーダーの存在
 4. しくみ(運営システム)の確立
 5. くりかえし行うこと(反復継続性)

 次に、具体的に、次のようなことがらがなされているか、ということです。

1.  イベントは単なる年中行事でなく、常なる変革のための企画であり、チャレンジと
   とらえているか
2.  日常は、何かやらねば生き残れないという危機感をもち、一方イベントの時は、
   自分たち自身がお客様とともに楽しんでいるか
3. お客様からの盛り上げや期待感があるか
4. お客様たちの「声」をよくきいているか、土地柄や住民性、お客様たちの心理
   ウォンツをふまえてやっているか
5. 企画を公募するなど、そのイベントの中で次のイベントの種が生まれているか
6. 老人から子供まで、住民全体の参加・体験的な要素があるか
7. 季節感やテーマ、変化を取り入れ、一回一回に魅力ある目玉があるか
8. 世の中のマクロトレンド(環境・健康・心と感動など大きな流れ)に沿っているか
9. 地域全体のコンセプトに合っているか
10. 情報発信や他との剌激的交流をしているか
11. 内外の話題性があるか
12. 手作り性を失っていないか(安易な業者委 託の弊害)
13. 直接の売上増を求めていないか、ただし、自分の店の経営改善のヒントや顧客の
   情報をしっかり得ているか
14. 婦人(おかみさん)と青年の活躍があるか
15. 最後に、責任者や担当者が交代していくとともに、人材が育っているか
   すなわち、《人がまちをつくり、まちが人をつくる》ということです。


中小企業静岡(1998年 9月号 No.538)