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組合が取り組む環境対策

 地球温暖化、オゾン層破壊など地球規模の環境破壊。最近は、これに環境ホルモンやダイオキシンなどの問題も絡み、マスコミで環境問題が扱われない日はない。
 「地球に優しい…」といったフレーズも、今や、すっかり定着し、環境保全への取り組み姿勢も企業や業界のイメージを形作る大きな要素となっている。
 しかし、企業個々の立場に立てば「環境のためだけでは、経営は成り立たない」というのも本音の部分。大企業に比べ
コストや技術面などで制約の多い中小
企業では、組合の共同事業として環境対策に取り組むケースも増えている。
 組合は”環境”にどう対応しているのか。県内の事例を見ながら探ってみた。


厳しさを増す規制

 中小企業にとって、一口に環境問題といっても、廃棄物処理、公害防止、再利用、省エネルギー、消費者への啓蒙、そして、環境問題をビジネスチャンスとして捉え、共同受注や新技術・新製品の開発を行うものまで幅広い。
 企業と組合は、自主的に、ある時は周辺住民や社会の声に押されて、ある時は環境関連法の制定・改正に呼応しながら、対策を講じていった。
 中でも環境関連法については、近年、社会要請や国際公約に沿い、法整備が進むとともに、より厳しい規制が生まれ、各企業や業界にその対応を迫りつつある。ひとつの法の制定・改正は新たな義務と市場を生み出す両面を持つ。
 先にこうした環境関連法について少し触れておく必要があろう。

法は徐々に地球的視点へ

 環境関連法体制の変遷の概要は別表の通り。多くの環境関連法が制定・改正されている。
 中でも、一九九三年一一月に成立した環境基本法は、これまでの大量生産、大量消費・廃棄型社会から決別し、資源循環型社会の構築の必要性を強く打ち出している点で、地球環境時代の環境政策をいかに展開していくのか、その出発点となるものだったといわれている。
 前年にブラジルで開催された「地球サミット」の趣旨を踏まえ、制定されたもので、二一世紀に向け、日本の環境政策の枠組として基本的な施策のメニューが規定されている。
 環境基本法成立前は、一九六〇年代に多発した産業公害の時代に対応した公害対策基本法が中心。高度成長、特に重化学工業を中心とする産業構造の中で立案されたもので損害賠償といった色彩が濃い。地球規模の環境に対する視点、国際協力などが欠落しており、地球環境問題については対処することができない限界を持っていたとされる。
 とはいえ、公害基本法の時代からのいずれの法律も中小企業にとって看過できないものばかり。大企業は自前で廃棄物処理場を確保したり、環境対策専門部門を設置したりして、いち早く対応しようとした一方、中小企業には”共同”の力は欠かせない。


中小企業静岡(1998年 9月号 No.538)