CHAPTER 3
世界に向けて情報発信
組合がホームページを作成
ホームページを活用して情報を発信
頁下の表をご覧のとおり、調査結果では、17組合2青年部1青年中央会が本県内でホームページを開設している。
開設している内容をみてみると、例えば商店街関係の組合では、組合員が扱う商品情報や、駐車場の案内、イベント情報などが織り込まれている。また、サービス業や製造関係では、組合員の技術情報や提供できるサービスの内容、過去の実績などが情報として集積されている。また求人情報のほか、ホームページについてのアンケートを行っているものもある。
全国の動きはどうか
それでは、全国では、ホームページを開設している組合がどのくらいあるのだろうか。
すでにインターネット事業に取り組んでいる富山県中央会の調べでは、全国で223の組合(青年部を含む)がホームページを開設している(7月現在)。
参考までに地区別の数字をあげてみると―――
北海道・東北ブロック(1道6県)では、10組合。関東・甲信越(1都10県。このブロックに静岡県が含まれる)が78組合。中部(五県)では、43組合。近畿(2府5県)が51組合。中国・四国(9県)には、21組合。そして、九州・沖縄(8県)が20組合という結果になっている。
全国の組合数は、4万9千710組合(8年度末)。全国でホームページを開設している組合の割合は未だ5%足らずだが、今後、この新しい媒体を活用していこうという組合が増加していくことが予想される。
■ホームページを開設した県内組合一覧■
組 合 名 ホームページアドレス
伊豆高原ペンション(協) http://www.iijnet.or.jp/izukogen/
(協)沼津卸商社センター http://www.dataeast.co.jp/danchi/index1.htm
伊東商業(協) http://www.venus.dtinet.or.jp/~brain/
静岡インターネットビジネス(協) http://www.crosswave.co.jp/sibc/
(協)森の腰商栄会 http://www.bekkoame.or.jp/~ac-moco/
清水銀座(商振) http://www2.crosswave.co.jp/ginza/index.html
(協)静岡専門店会 http://www.wbs.or.jp/bt/nissenren/
(商振)静岡呉服町名店街 http://www.gofukucho.or.jp/
(協)しずおか匠の会 http://www02.so-net.or.jp/~takumi/top.htm 1/
静岡県貨物運送(協) http://www.ara-net.co.jp/sizuka/
(商振)七間町名店街 http://www.wbs.or.jp/bt/7net/
(協)クリエイティブデザイン・オニオン http://www.across.or.jp/onion-k
藤枝駅南(商振) http://www.chabashira.co.jp/fujieda/
島田木材(協)島田十日会 http://www.wbs.or.jp/bt/akisan/mokuzai/index.htm
静岡県繊維産元(協) http://www.habi.or.jp/sanmoto/
遠州綿スフ織物構造改善(工) http://www.fcc.co.jp/menkoren/ensyuu/
(協)浜松卸商センター http://www.habi.or.jp/orodan/
同青年部(翔友会) http://www.habi.or.jp/~syo/
(協)中遠海外技術研修センター http://www.chuen.com/iwata/cttc/index.htm
静岡県西部青年中央会 http://www.scjp.com
(注) 本表は、中央会が実施した「インターネット活用・組合情報化に関するアンケート調査」で、ホームページ作成済みと回答し、アドレスの記載があるものを中心に掲載した。また一部には、この調査以外に独自にインターネットを通じて調査したものも含まれている。
CHAPTER 4
通信を活用した組合事業
熱意が実を結んだ2つの事例
伊東商業 インターネット通販を実験
中小企業マルチメディア対応調査研究事業を活用して、
共同店舗の情報発信の可能性を探る。
伊東商業協同組合
マルチメディアを生かした新しい情報発信を研究
昨年五月、伊東市にオープンした伊東ショッピングプラザ
“デュオ”(伊東商業協同組合)。
売場面積1万1400平方メートル。47の売場を有し、駐車場も1千台という大型SCだ。
同組合では、昨年度中央会の「中小企業マルチメディア対応調査研究事業」に取り組み、ホームページをインターネット上に公開するとともに、SCイントラネット(企業内や企業間の情報交換をインターネット上で利用されるシステムを活用して行うこと)構築や外部との連携の可能性を探った。
ユニークな試み・ローカルインターネット通販実験調査
さまざまな角度から研究をすすめてきた中で、組合ではあるユニークな実験調査を行った。 名付けて「ローカル・インターネット通販実験事業」。
民間の高齢者コミュニティ施設(有料老人ホーム)で、インターネット専用端末を使って入居者に最寄品を購入してもらう、いわば通信を使った“ご用聞き”といったもの。
この実験では、まず組合で商品の写真、価格等の情報や注文表を盛り込んだホームページを作成。これをインターネットを通じて施設入居者に閲覧してもらい、その画面上で必要な商品を注文、夕方には商品が手元に届くというシステムで行われた。
実験が打ち破った高齢者=パソコンアレルギー
施設の入居者は約300人。
対象が高齢者という点を考慮して、表示は日本語を使い、個人名のかわりに部屋番号を入力するなどキーボード操作を極力抑え、テレビのリモコン感覚で“買い物”ができるようにした。
こうした創意工夫によって、高い利用率を得るとともに、高齢者=パソコンアレルギーという概念を打破ることに成功した。
インターネット通販は、商業者にとって新しい販売システムとして
注目に値する。 しかしもうひとつ、今回の実験に見る通り、高齢化社会の中で誰もが身近に利用できるシステムを構築することの重要性を改めて実証した。
今後組合では、この事業で得られたノウハウを生かして、マルチメディア技術を活用した新しい形の顧客サービスの実現を目指していく。
引越専門 ソフト開発を内製化
膨大なソフト開発を全て内製化。開発のイニシャルコスト、
ランニングコストを軽減。
静岡県引越専門協同組合
8ヵ月間でシステムを構築
県引越専門協同組合は、昭和53年に設立。組合員6社を擁し活躍中の組合である。
こうした北海道から鹿児島県までの単位組合30団体が加入する全国組織が、全国引越専門協同組合連合会(以下連合会)。
ここで紹介する「ハトネット」は、連合会の中に設けられた静岡県を含む九人の組合事務局と一部の組合員企業で構成する委員会が、8ヵ月という短い期間で自主開発した引越センター業務を支援するシステムである。
2つの柱からなるシステム
この「ハトネット」は、2つのシステムから成り立っている。
ひとつは、「通信システム」。
ここでは、求車・求荷情報をはじめ、荷の積み卸し等の作業員を手配するためのシステムや、連合会の会議開催情報や議事録が閲覧できる。さらにハトネット利用者からの操作上の疑問に答える“ハトネットQ&A”があり、スムーズに利用出来るよう配慮している。
また、委員会のメンバーが新メニューの実験を行う“作業部会”のコーナーがあり、バージョンアップ等に役立てている。
もうひとつの柱は、「業務管理システム」。
引越センターが、顧客から依頼を受けた際に発行する見積書や、例えば電気工事やピアノの配送など、請負った内容によって発生する専門業者への依頼書もこのシステムで作成できる。
こうして日々集積されたデータは、見積金額を設定する際の参考にするほか、DM管理やクレーム管理などカテゴリー別に整理され戦略に生かされている。
このように、日常の事務的業務の効率化を目指した“業務管理システム”を開発したのには、大きなワケがある。
ハトネットに限らず、パソコン通信を利用したシステムは、使いこなせば大きなプラスになるものの、パソコンに不慣れな人にとってはなかなか手が出しにくいもの。
そこで、最も日常的な業務管理部門をシステム化することで、パソコンに向かうきっかけをつくり、通信にまで手をのばしてもらおうというわけだ。
こうした創意工夫が功を奏し、現在では連合会の会員30組合が加入しているほか、組合傘下の企業160社がこのシステムを利用している。
内製化で得た二つの効果
冒頭紹介したように、「ハトネット」は、組合の事務局長などが中心になって開発された手作りのシステムである。
外部の業者の力を一切借りなかったことで、開発にかかる費用が大幅に圧縮されただけでなく、システムを強化するための新たなソフト開発に要するコストも軽減することが出来た。
また、引越に関わる全ての流れを熟知した者が開発したことで、地に足のついた、より現実的なシステムが完成した。
“形のあるものを残したい”という熱意から誕生した「ハトネット」。組合や組合員を強力にサポートする心強い味方として、今、大きな成果を収めている。
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