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視点・指導員の現場から

地産地消型バイオマスで地球温暖化対策を

バイオマスの推進

5月4日、バンコクで行われていた「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が終了し、適切な投資をすれば、世界の温室効果ガスの排出量を現状より半減させることができるとの報告書が採択された。

温室効果ガス排出量削減の方法の一つとして、バイオマスの利活用があるが、地方の中小企業が取組む地産地消型のバイオマス利活用の推進は、規模こそ小さいものの、地域起こしと成り得る可能性を秘める。

バイオマスの利活用は、地域が自主的に取組むための目標を掲げて、地域の実情に即したシステムを構築することが重要であり、地域の特性や利用方法に応じ、多様な展開が期待される。

静岡県では、平成17年3月「静岡県バイオマス総合利活用マスタープラン」を策定した。これは、県内の各種バイオマスの現状や課題を整理し、その利活用推進のための基本方向や推進方策を示したものである。

バイオマスは、廃棄物系(家畜排せつ物、食品廃棄物、建設廃材等)、未利用バイオマス(稲わら、竹、剪定枝等)、資源作物(菜等)と幅広く、その利用方法も、堆肥化、飼料化、炭化、燃焼による発電、メタン発酵、エタノール等多様である。

バイオマス燃料で自動車排ガス対策

地球温暖化の原因物質である二酸化炭素対策として、政府はバイオ燃料の普及を促す新法を制定する検討に入っている。

バイオ燃料は、生物体(バイオマス)の持つエネルギーを利用したアルコール燃料、その他合成ガスのことで、二酸化炭素排出量が減ることから主に自動車を動かす石油燃料の代替物として期待を集めている。

バイオ燃料には、BDF(バイオディーゼル燃料)とバイオマスエタノールがあり、前者は菜種油、パーム油等の植物油、魚油及び廃食用油(てんぷら油)等が原料となる。後者はサトウキビ、とうもろこし、大豆等がその原料である。

静岡市内の静岡油化工業(株)では、平成15年よりBDFの製造を始めた。県内10市町より廃食用油を回収しBDFを生産。月産35キロリットルのBDFの100%が、自社のタンクローリー及び自治体のパッカー車に使用されており、他の市町にも利用の動きがある。

同社は県豆腐油揚商工組合との連携の下、豆腐製造において発生するオカラを乾燥、飼料・肥料にするリサイクル事業も手がけるが、オカラからのバイオマスエタノール製造を計画している。ディーゼルエンジン用のBDFが軌道に乗ってきたため、次はガソリン車の燃料をということで、エタノール製造に取り掛かることとなった。

とうもろこし等食料資源である農作物のバイオ燃料への転用は、食糧危機になる恐れもあるとの意見もあるため、同社の取組は、地元から廃棄された廃棄物を利用することで、地産地消型の社会循環システムが構築できることとなる。

バイオ燃料製造施設は、まだ試験的な段階でもあり、設備費が掛かることからも、大型プロジェクトの支援だけでなく、地方での小型プラントにも支援をお願いしたい。(環境資源協会・大場)