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クローズアップインタビュー

“植物が発芽するブロック”
経営革新計画の承認を受ける

春野建設事業協同組合
理事長 西村正則 氏

スギ・ヒノキの産地、林業のまちとして名高い浜松市春野町。宝塚歌劇を象徴する「すみれの花咲くころ」の作詞者白井鐵造氏の出身地でもある。氏がふるさとに咲くすみれを思い浮かべ、作詞したという逸話にちなみ、近年は「すみれの里」としても知られる。

この「すみれ」とスギ・ヒノキにヒントを得て、植物が発芽するコンクリートブロックを開発した春野建設事業(協)の理事長を務める。

3月に協同組合では、県内5組目となる経営革新計画の承認を受け、本格的な製品化に乗り出した。

同組合は、町内の建設業者らが共同で河川の砂利採取を行おうと昭和43年に立ち上げた。以来、生コンプラントの設置やコンクリートブロック製造なども手がけ、地域の開発と発展にも寄与してきたが、次第に公共工事など工事量が減少しはじめる。理事長に就任した平成9年はそんな時期にあたる。

「既存事業だけでは限界がある。早く次の手を打たなければ、建設業だけではなく、地域全体が沈んでしまう」。危機感が募る中、辿り着いたのが、“炭れブロック”だ。

「地域の資源であるスギ・ヒノキの間伐材の活用を考えるうち、炭の効用に目をつけた。間伐材で炭を作り、それを活かせないかと」。

平成13年、待望の第1号が完成。含水率の高い炭を護岸ブロックに用いることで、微生物が繁殖し、河川の浄化に効果がある。また、水に濡れたブロックがすみれ色に変わり景観にも溶け込む。

現在までに35万個を製造。環境対応型ブロックとして県西部地域を中心に河川工事に用いられる。

「今回開発したものは、粒状炭に土と植物の種子を加え、ブロック自体から植物が発芽するという画期的なタイプ。自然状態より早く発芽することも試験で確認できた」と自信をのぞかせる。9月中にも商品化の目途をつける考えだ。

平成2年、県青年中央会会長に就任。「以前は、人前に立つだけで赤面し、思ったことが全く口から出てこなかった」。

人を集める楽しさも青年中央会で学んだ。青年中央会を通じ懇意になったタレントの永六輔氏を春野に招き「人口6000のまちで1000人を集めイベントをうった」ことも。

ロードバイクを駆り、年間3000キロを走破する。それも専ら山道だ。時速10キロ程度で登り、50キロを超えるスピードで駆け下りる。

「下りの爽快感?いや、山を登りつめた征服感が堪らない」。

祖父が興した株式会社西村組を38歳で継いだ二代目社長。