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事務局 多士済々

業界の移り変わりを見続けて35年

静岡県鋳物協同組合・
静岡県銑鉄鋳物工業組合
事務局長 山下礼子氏

「そんじょそこらにゃいない人材だよ」と協組杉山清理事長が言えば、同梅澤稔専務理事も「業界の生き残りに貢献した存在」と評する。

昭和48年の入組から35年。親・子・孫の三世代にわたり付き合いのある組合員も少なくない。「以前、事業所を訪問したときに幼かった子が今は後継者として活躍してます」。

組合員の代替わりが進む中、入組以来続く付き合いは、杉山・梅澤両氏のみだ。その組合の重鎮からの賛辞は、決してお世辞ではない。積み重ねた実績と築いた信頼関係が自然と二人のことばに込められる。

専門学校を卒業し、広告会社でイラストを手がけた後、県庁に臨時職員として2年間勤務した。そこで一緒に働いた女性がひと足先に就職したのが現組合だった。「ちょうど別の職員が退職するので、その後任にと誘われたのです」。高度経済成長期、順調に発展を続けてきた銑鉄鋳物業界が、曲がり角に立ちつつあった時期だ。

昭和45年の開始から平成17年の終了まで、五次にわたり実施された業界の構造改善事業をほぼ全ての期間、事務局として取り仕切り、業界の移り変わりを見続けてきた。

平成7年、事務局長に就任。半世紀近く局長を務めた前任者の勇退に伴い、その後継者に指名された。「事務局長になって最初の通常総会での議案説明。声が震えました」。その重責を実感した瞬間だという。

「事務局の役割は、執行部が決定したことをいかに速やかに実行していくか、に尽きます。そして全ての組合員にそれを周知するための根回し役」と言い切る。その根回しも強い信頼関係で、スムーズに運ぶ。

「私の組合での財産は、とにかく人に恵まれたこと。代々の理事長をはじめ多くの組合員、そして従業員の方々」。

2組合の事務局を一人で切り盛りし、「休日も組合のことが頭から離れない」中、歴史小説など読書を楽しむ。