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クローズアップインタビュー

商工中金沼津支店長に就任
"目利き力"で取引先に貢献

商工中金沼津支店
支店長 国分孝一 氏

商工中金の経理部門である主計室8年、金融法務を担当する法務室次長を2年半。こうしたプロフィールをみると「エリート内務派官僚」の印象だが、話を聞くと正反対。営業店で顧客と向き合い、経営相談にのる現場が大好きなのだ。

その念願が叶ってか、3月10日付で沼津支店長に就いた。「常に信頼される金融機関としての位置づけを確固たるものにしていくのが基本。お取引先のことを本気で考え、経営全般のお役に立てるよう徹底する。そのため、お取引先の将来見通しについて目利きのできる実力を職員につけさせたい」と方針は明快である。

印象深い経験といえば、平成4年に配属された主計室での8年間だ。経理業務を通じ物事を客観的に捉え、考えるという習性が身についた。

「経理は、数字が全てで曖昧さが許されない。出された結果から、原因とか理由とかを最後まで突き止めるという訓練がされたと思います」。

その後、次長として赴任した前橋支店。大企業へと成長しながらも、工場で子供がおもちゃをつくるように嬉々として生産技術の革新に取り組む社長の姿が忘れられない。「単にご融資をした、というのではなく、いろんな分野で経営のお手伝いをすることが自身の喜びとして感じることができた。同じ思いを職員にも経験させたい」。

前任の法務室では、国内第1号となった企業再生のためのデット・デット・スワップ(DDS)や在庫・売掛金など企業の事業価値に着目するABLという新しい金融手法の開発、実践に携わった。併せて、同手法を他の金融機関にも広める重責の一端を担ってきた。一例が、昨秋実現した福岡県の金融機関との連携業務だ。地元海産物卸商に対し、同社の昆布や煮干などの在庫―その在庫販売による売掛金―売掛金の入金、預金―といった事業のライフサイクルを担保に資金融資。このABLという新たな手法は金融機関、地域を超えて広まる気配をみせている。

「商工中金は、他の政府系金融機関と異なり完全民営化が決定したが、これは中小企業金融で果たしてきた役割が評価された結果。お取引先である中小企業の多様なニーズを的確に捉えた質の高い総合金融サービスを提供していくことが重要で、そこに当金庫の独自性があります」。

趣味は旅行。学生時代から鉄道、とくに夜行列車の旅を楽しんできた。読書は鬼平犯科帳、眠狂四郎など時代小説、剣術ものが好き。

「ゴルフ?恥をかかないよう目下訓練中です」と笑う。45歳。