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シリーズ「くみあい百景」

徹底した本物へのこだわりが製品に結実

企業組合純粋烏骨鶏技術研究農場

烏骨鶏に魅せられ組合を設立

中国が原産地といわれる烏骨鶏(うこっけい)は、その名が示すように肌、骨、内臓が烏のように黒いため、烏・骨・鶏と称され、また絹糸状の毛で全身が覆われていることから英名で「シルキー(Silkie)」と呼ばれる愛らしい鶏だ。

その卵は、年に50個程度しか産卵しない希少性と一般の鶏に比べ、人が健康を維持するために必要な5大要素(炭水化物、脂肪、たんぱく質、ビタミン、ミネラル)をバランスよく含むため、漢方や薬膳料理などで珍重されてきた。また、卵黄を燻してつくられる卵黄油は、レシチン、ビタミンEなどを豊富に含み、血流を良くすることで知られる。

この烏骨鶏に魅せられた家禽研究家、元公務員、農家らが純粋種(原種)に徹底的にこだわり、その普及を図るため、平成13年に立ち上げたのが同組合だ。

組合では、烏骨鶏から採れる卵黄油の製造、販売などを事業として手がける。

60年近く民間の研究機関などで鶏の研究に携わる関場成興(せきば なりおき)理事長は20年前、烏骨鶏に出会った。

「ある農場を訪ねたとき、たまたま目に入った珍妙な鶏が烏骨鶏でした。その卵の絶大な効用を聞き、これを普及させたい。ここから烏骨鶏との付き合いが始まりました」。大病を患った際に烏骨鶏の卵黄油を飲用し、体調を回復したという自身の経験からも、その効用には絶対の自信をもっている。

全てに徹底したこだわり

名峰富士を望む三島市の丘陵地。この絶好のロケーション約4000平方メートルの敷地に、烏骨鶏約1000羽を飼育する組合の鶏舎4棟が建つ。家畜特有の臭いはほとんどない。

「烏骨鶏は用心深く、ストレスを溜めやすい動物です。さらに飼育が難しい。このため、環境には十分配慮する必要があります。清潔な環境を保つため、糞尿を分解する菌床を地面に施し、自然分解させることで、臭いを抑えることに成功しました。また病害虫の防除には、化学薬品類を一切使用せず、竹酢液や竹炭など自然なもので対応しています。この仕組みづくりに6年かかりました」。関場理事長は、試行錯誤の上で築き上げた現在の飼育環境に胸を張る。

さらに、組合が単なる烏骨鶏ではなく、「純粋」にこだわり続けるのには大きな理由がある。

「一般に烏骨鶏として飼育される鶏は、他種とのかけ合わせによる交配種がほとんど。交配種は純粋種に比べ、産卵数こそ多いですが、その薬用効果は劣ります。組合では、たくさんの烏骨鶏から選抜を繰り返した純粋種の卵を孵化選別し、繁殖させた烏骨鶏だけを飼育しています。糸毛、黒肌、黒骨、黒肉、五趾(足の指が5本)などの10項目は、純粋烏骨鶏のみがもつ特長。我々はこれら10項目全てを満たすもののみ、烏骨鶏として認めているのです」。

与えるエサにも十分な配慮がなされる。トウモロコシ、朝鮮人参、ヨモギ、タンポポなど全て遺伝子組み換えのない、無農薬野菜を使用。これにDHAを多く含むマグロの頭やミネラル豊富な貝化石をすり潰したものを配合し、飼料とする。

「純粋烏骨鶏そのものが持つ効用に、安全で栄養価の高いエサを加えることで大きな相乗効果が生まれ、最高の烏骨鶏卵黄油が提供できると自負しています」と理事長は、自信をのぞかせる。

別名「シルキー」として知られる烏骨鶏。純粋種の卵は希少で栄養価は極めて高い。

富士を望む絶好の立地に四棟の鶏舎が建つ。環境には十分配慮し、臭いはほとんどない。

60年近く鶏に携わる関場理事長。その研究心は衰えない。

純粋烏骨鶏から採取した卵黄油。組合が力を注ぐ主力商品だ。

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飼育技術の継承を目指して

現在、組合では商社と提携し、月300ビンの卵黄油を全国に出荷。8月には500ビンに増産する予定だ。さらに、大学の免疫学の専門家らと卵黄油のもつ効用についての共同研究を近く始める。

「組合事業は軌道に乗り始めました。これは健康志向・本物志向の人たちが烏骨鶏に大きな注目を注いでいることの表れであり、私たちの取り組みが評価されはじめた結果だと思います。しかし、ここが終わりではない。常に改善を意識しながら品質を維持することを心がけています」。82歳になる理事長の研究心は衰えない。

「純粋烏骨鶏の飼育は、本当に難しい。我々が培った飼育に関する技術やノウハウをいかに次代に継承するか、これが課題です。私たちは、人=後継者を育てる責任もある。幸い、烏骨鶏に興味をもつ若者が組合に入り、着実に力をつけています。これからが楽しみです」。

組合の可能性は拡がっていく。

住所
〒411-0047
三島市佐野1085番地1
理事長
関場 成興(せきば なりおき)
TEL
055-994-0005
FAX
055-994-0006