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富士の叫び

限りない可能性求め新たな一歩を

今年も、4月・5月期の一大イベントともいえる組合の総会シーズンが終わった。満を持した役員構成で、決意も新たに船出した組合も多いことと思われるが、組織や事業など随所に刷新を図り、難局に立ち向かってほしい。

本会においても今期、役員の任期満了を迎え、恒例により各組合の総会の山を越した5月30日、静岡市で通常総会を開催した。多くの会員、また日頃多大なご支援を頂いている県・各市をはじめとする行政・関係機関の皆様に錦上華を添えて頂き、盛大に挙行できたことを心からお礼申し上げたい。

今回の役員改選では、私自身、会員各位の推薦により老骨に鞭打ちさらに続投をすることとなったが、長年勤めた専務理事の勇退に伴い、事務局内部から新たに2名の常勤役員を起用することになった。選任された46名の役員体制のもと、ニーズに即応する実務集団としての機能を確保しつつ、あらゆる中小企業が抱える諸問題に対処して弛むことなく前進していきたいと考えている。

ところでこの春、日本は大手企業を中心として好決算に沸いた。多くが18年度も増益を見込むが、その再点検を余儀なくされる事態が進行している。ひとつが、昨年から続いている原油価格の急騰である。石油販売業界における努力にも関わらず、この1年で軽油やガソリンの小売価格はリッターあたり10円前後、また重油については5割以上の値上げとなった。各方面に与える影響は極めて深刻で、運送業界では輸送費に占める割合が20パーセントを超え、過当競争から運賃に転嫁できない死活問題に発展。また、足元の地場産業などでは、高齢化・後継者難に加え燃料費の負担増は一段と経営を圧迫していく。国内景気は引き続き回復基調、と政府筋は今後を見通すが、すでに現場では設備投資への手控え感が色濃く出はじめている。

しかし、ここで敢えて悲観論は言うまい。いつの時代にあっても逆境を克服し、新たな時代を切り拓いてきたのが中小企業である。それは団結と挑戦の歴史でもある。その拠り所となる組合、そして連携組織の限りない可能性を追求し、各位が更に力強い一歩を踏み出していくことを切に願うものである。

静岡県中小企業団体中央会・会長 井上 光一