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施行間近な新会社法
どうなる?有限会社


 新・会社法が本年五月に施行されることが確実視されている。「有限会社制度の廃止」、「最低資本金制度の撤廃」などが新法の特徴だ。トピックスでは有限会社制度に関する重要事項について解説する。(資料提供 中小企業庁)


有限会社制度の廃止

Q)有限会社制度が廃止されるが、既存の有限会社はどうなるのか。
A)特例有限会社制度により、新会社法施行後も有限会社の商号をそのまま使用することが認められる。株式会社の商号を使用する通常の株式会社に移行することももちろん可能である。
ねらい)新会社法では、会社類型の選択の硬直化・規制の形骸化を踏まえて、有限会社制度が廃止され株式会社制度に一本化される。ただし、既存の有限会社については「特例有限会社制度」が適用され、引き続き「有限会社」の商号使用が認められるなど、これまでの規律を維持するための必要な経過措置が設けられる。
 また、株式譲渡制限会社へ移行することで、株式会社の商号を使用しながら、これまでの有限会社制度に準じた簡易な規制を選択することも許容される。
注 意 新会社法施行後に会社を設立する場合は、特例有限会社制度は適用されないため、有限会社を新設することはできなくなる。

特例有限会社

Q)特例有限会社となるためには、どのような手続きが必要か。
A)特段の手続等は必要なく、存続期間の制限もない。
ねらい)新会社法施行後も有限会社の名称と実態を変えないで会社を存続させたいというニーズに配慮して、新会社法では特例有限会社制度が設けられた。
 既存の有限会社は、新会社法の施行により自動的に特例有限会社に移行することとなり、そのための定款変更や登記申請等は原則として不要。また、特例有限会社としての存続期間について、特に制限は定められていない。
 特例有限会社には、基本的にこれまでの有限会社と同じ規制が適用されるが、一部次のような相違点がある。
(1)これまで五○名とされてきた社員の員数制限が廃止。最低資本金制度も撤廃。
(2)新株予約権や社債の発行が可能に。
法的位置付け 特例有限会社は、会社法上は株式会社となり、経過措置で「有限会社」の商号の継続使用や従前の規律の維持が認められるという位置付けになる。新会社法施行後、「有限会社の定款」は「株式会社の定款」に、「社員」は「株主」に、「持分や出資口数」は「株式や株式数」と読み替えられることになる。

特例有限会社か譲渡制限株式会社か

 特例有限会社と株式譲渡制限会社は、それぞれ次のような特徴がある。
(1)特例有限会社のまま存続するメリット
*取締役、監査役の任期に制限がない。
*決算公告義務がない。
*慣れ親しんだ商号を引き続き使用でき、商号変更に伴うコスト(名刺・看板・ハンコの変更費用等)も不要。
(2)株式譲渡制限会社へ移行するメリット
*対外的信頼性の向上が期待できる。
*会計参与、会計監査人を設置できる。

   株式会社制度と有限会社制度の統合【PDF形式(164KB)】



中小企業静岡(2006年3月号No.628)