特 集 
 多士済済 
 視 点 
 編集室便り 




 平成十四年、地元商店主らを束ね葬祭組合を設立。そのわずか三年後の二月、この種の組合としては全国初となる自前のセレモニーホールを榛原郡吉田町に完成させ、組合の営業力と提案力にいっそうの弾みをつけた。理事長として、その旗振り役を自任する。
 組合ホール「愛ハート会館」は最大二〇〇人を収容し、スペース十分な会食室や駐車場を完備する豪華施設がウリ。全館バリアフリーの設計で、通夜から葬儀、告別式にいたるまで使いやすさにこだわった。「シニア層の拡大、高齢社会を見据えれば、健康・福祉分野でいっそうのサービス充実が求められる。会館を拠点に、自在な演出で忘れられない思い出を残せれば」と意欲をみせる。
 近年、生活様式や住宅事情の変化などに伴い、自宅葬のニーズは全国的に下降線を辿っている。したがって地域に葬祭会館を保有することが、葬儀社選びの際の重要なアドバンテージとなってきた。
「会館をもつのは、もはや時代の流れ。永代にわたって地域に愛されていくためにも、この会館を拠点として多様化する要望にキッチリとお応えしてく」と自信をのぞかせる。


 組合ホール「愛ハート会館」完成 
心に残るもてなしに自信 
     クローズアップインタビュー 
協同組合吉田商工セレモニー 
理事長 
高橋 敏昭 氏 

 従来、町内における同組合の葬儀シェアは農協系に次ぐ二番手グループでしのぎを削ってきた。町内でおよそ年二○○件の葬儀が営まれるが、最近の実績では農協系が六割、セレモニーホールを展開する地元の専門業者が二割、組合が二割。そこで、   「会館建設を機に、シェアを四割に伸ばすこと」を譲れない目標に定めた。その実現のため、会員制度「愛ハート倶楽部」の増強が目下の課題で、当面は千名を加入目標に営業を強化する方針を打ち出した。 
 吉田町、榛原町に四店舗を持つ総合スーパー、カネハチの二代目社長。昭和三六年三月、学校卒業とともに家業の青果店に就職した。三九年には売り場面積を四倍の三二坪に増床し、当時のはしりを行くセルフ方式を採用し話題をさらった。昭和四五年には大型冷蔵ショーケースを導入するなど大規模な店舗改装を行い、鮮魚・精肉を扱う総合スーパーへの業態転換を果たした。
 その資金繰りの際、大きく依存したのが設備近代化資金で「おかげで、計数管理の大切さを身をもって実感した」と振り返る。
 現場主義が身の上。二○○人をこえる社員を抱える今も、常に現場に立ちお客様との会話を通じ商品構成を練り上げる。青果市場の仕入も自らこなし、目利きの勘の維持にこだわる。吉田町商工会副会頭、六二歳。




中小企業静岡(2006年3月号No.628)