特 集 
 多士済済 
 視 点 
 編集室便り 




静岡県織物染色協同組合
 
事務局長 新村 武 氏 

 「攻めの伝統産業」へ 
 アシスト役担う



 身長百八○cm。恵まれた体格をいかし、高校時代は名門、浜松商業高校のバスケット部で活躍した。昭和四一年の高校二年時から二年連続でインター杯に出場。特に三年時は最上級生として、全国第三位にチームを導いた。
 このバスケットの縁が、後の人生を決めた。組合への就職は昭和四六年。繊維業界が好況を謳歌していた時代だ。ひと足先に組合に就職したバスケ部の先輩、菅沼泰雄前専務理事から直接声をかけられたのがきっかけだった。
「ガス会社に勤務していましたが信頼できる先輩の誘いに、断る理由はありませんでした」。
 当時は、組合で給食事業を実施していたこともあり、職員は三○数名の大所帯。朝六時に給食工場へ出勤し、その後九時ごろ組合事務所へ移動する勤務形態をとっていた。「まだ二十代前半で何をやっても面白いとき。私自身、苦労をいとわない年頃でした」。
 平成十三年に事務局長に就任。十五年には菅沼専務の退職もあり、現在はひとりで組合事務局を切り盛りする身だ。
 今年で職員生活も三五年目を迎えた。「組合員や関係機関、中央会など幅広い分野で多くの知己を得た。それが、何ものにも換え難い財産です」。
 長らく繊維業界の不振が続いているが、「海外戦略事業や自立化事業などを通じ、守りの伝統産業ではなく攻めの伝統産業へと脱皮をはかっているところ。産地が一致団結して難局に当たることができるよう、微力ながらそのお役に立てればと思います」。
 事務局長に就任して二年目。自然体の中にも、自信が見えかくれする。「戦略を練り、勇気をもって難局にぶつかっていく。バスケも組合運営も、似たところがあるかもしれません」と笑う。



中小企業静岡(2006年2月号No.627)