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既存概念を捨て発想の転換を

 桜前線の北上と共に、平成十七年度がスタートした。新年度は、県内初の政令指定都市「静岡」が誕生する記念すべき年となった。“新しいぶどう酒は新しい皮袋に”― 言い古された表現ではあるが、これ程ピッタリくるものもない。
 政令指定都市は、大都市に相応しい権限と財源を県から移譲され、行政サービスの迅速化・効率化等を図り、市民福祉の向上を目指していくことを大きな目的としている。都市間競争の時代といわれる今日、今までとはひと味もふた味も違う、魅力あふれる静岡を官民一体となって実現していく必要があろう。全国十四番目に生まれた静岡は、人口七○万人強。その規模でいえば脆弱性は一目瞭然である。循環型社会の創出という大命題を抱えた中で、既存産業はもちろんのこと新産業の育成等による地域経済の活力向上を見据えた新たな展望を開かねばならない。それには、発想の転換がカギを握る。
 最近こんな話を聞いた。外国人観光客にとっても富士山は人気の高い観光スポットであるが、海に面した静岡側が絶景であるという有利な立地条件もあり、静岡県人は「当然、富士山を見るなら静岡に来る」と思い込んでいる節があると。ところが実際、中国の観光客の多くは山梨県を訪れているという。交通インフラ、有名温泉地の数々。その他本県には、家族で楽しめるレジャー施設も数多い。なのに、なぜ山梨県か。どうも誘客活動、アピールの仕方に違いがあるらしい。
 富士山に表も裏もない。サービス・価格は横一線。とすれば、誘客の努力、巧拙が勝敗を決める― そこに山梨県側の戦略がある。これは一例だが、既存概念にとらわれない発想は重要である。
 組合にとっても、主たる事務所を静岡・浜松・沼津・富士市に置く地域組合の所管がそれぞれの市に移管され、届け出を含めた事務管理が市長宛となった。この時期、改めて地域との連携を見直し、指定管理者制度等への積極的取り組みを期待したいものである。

静岡県中小企業団体中央会・会長



中小企業静岡(2005年4月号No.617)