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 「くみあい百景」 
 編集室便り 




 〒422-8054
 静岡市南安倍3-10-11 
理事長:中嶋 達郎
組合員:6名
出資金:3,000千円
TEL:054-281-0399
FAX:054-281-5034


協同組合
静岡金属建具工業会

建物変形でも開く
耐震ドアを開発、販売





▲90戸の玄関に取り付け
 られた「開之守」

▲リフォームされた
 裾野市の県営住宅茶畑団地

阪神の教訓を生かして開発

 「いつ起きてもおかしくない状況」と言われる東海地震。
 平成七年一月、五千五百人余の尊い命を奪った阪神大震災は、倒壊した建物や壊れた家具による圧死や窒息死による死者が八割を超え、その九割以上が発炎後十五分以内に亡くなるなど地震の怖さを痛感した。また高層マンションや公営住宅などでは地震の影響でドアが変形して開かなくなり、避難できずに焼死してしまうなど二次災害にあったケースも目立った。 その教訓を生かし国を挙げて防災訓練、建物の耐震補強、インフラの整備にあたっている。
 こうした中、静岡市内の防火用ドア業者六社が地震などで建物が倒壊しても開く耐震ドアを平成十三年十二月に開発した。
 六社は昭和五十年に任意組織の静岡金属建具工業会を発足。ドア材料の安定供給、防火用ドアの研究を中心に活動。阪神大震災を教訓に平成十年から耐震ドアの開発に本腰を入れてきた。
 折りしも平成十四年度から全国の築三十年を経過した公営住宅でリフォームが計画されており、十四年一月に組合を設立、二月から販売に乗り出した。


国内初の優良認定耐震ドア

 耐震ドアの商標登録名は「開之守(あきのかみ)」。開之守はドア枠への地震の揺れをドアの上下二カ所に取り付けた特殊金具(変形追従スライダー=特許取得)が吸収、建物(ドア枠)の変形に合わせてドア本体が変形し、ドアとドア枠の間に最大で三十四aの空間をつくるので開閉が可能になる。
 この空間により「開之守」が耐えられる建物変形追従角度は六〇分の一ラジアン(一ラジアンは円の半径に等しい弧に対する中心角の大きさ)という国内最高レベル値で「優良住宅部品認定事業」を実施する財団法人ベターリビング(茨城県つくば市)から耐震ドアでは国内初の認定を受けた。
 中嶋理事長は「六○分の一の達成は全国で初。一般にスチールドアは二○○分の一ラジアン以上変形すると、ドアと枠が接触し開かなくなり始める。開之守は震度六〜七にも耐えられ、子供や高齢者、身障者でも開けられるドアということです。
 開之守の特長は(1)建物が変形しても安全に避難。(2)その後も施錠ができる(泥棒除け)。(3)既存ドア枠を使用するので低コスト、短時間で取り付けが可能。
 工事は一時間以内で、費用は約十三万円。ドア枠を替えるものはモルタル塗り等時間もかかり、二十五万円は要る。開之守は画期的商品」と自信を持つ。



中小企業静岡(2004年10月号No.611)