特 集 
 準特集 
 「くみあい百景」 
 編集室便り 




産・学・官連携のすすめ

 こ地域経済の活性化を目的として、また、その骨格をなす中小企業の経営革新の手段として、産・学・官連携が、あらためて脚光を浴びている。
 もとより本県の中小企業は、産学官交流を通じて、競争力の強化や新分野進出など、“個々の企業単位では成し得ない”多くの成果を収めてはきた。しかしその半面、産学官の間に存在する溝を埋めきれず、実用化までに至らないという、幾多のミスマッチを重ねてきたのも事実である。
 しかし、時代は新たな局面を迎えた。国立大学の独立行政法人化である。これを機に大学の門戸は大きく開放され、最高学府の持つ知的ポテンシャルは格段に身近なものとなった。現に、地域社会との連携を謳う静岡大学では、積極的に「イノベーション共同研究センター」を設けるなど、本腰を入れて産業界との連携強化に乗り出した。また、他大学では地元金融機関や証券会社との連携による「マッチングファンド」等を創設し、金融支援を取り入れる新たな動きもでている。
 ところで、産学官連携を成功に導く要素として、特定の普及能力を有する連携コーディネーターの存在を見逃してはならない。三者の間に立ち、各機関の意見を包括的に捉え、そのニーズに関する情報の受発信を積極的かつ効率的に行うことが、その役割である。
 中央会は、市町村を跨ぐ広域的なコーディネート機能を有する数少ない組織であると、いささかの自負をしている。手前ミソで恐縮だが、過日、本会の東部事務所において「富士山麓医療関連機器製造業者等交流会」を主催し、その連携の中から「人工呼吸用マスク」の開発・商品化が実現した。さらに、この成功を一過性の試みとして捉えるのではなく、恒常的な連携組織としていくため、九月には、当事務所が音頭をとり「ものづくり支援ネットワーク」を立ち上げたところでもある。
 チャンスを逃す手はない。会員組合においても、本会の機能を十分に活用いただき、産学官連携により業界の新しい方向を示されることを切に望む。

静岡県中小企業団体中央会・会長



中小企業静岡(2004年10月号No.611)