特 集 
 準特集 
 「くみあい百景」 
 編集室便り 






 会社法研究

 改正のゆくえと中小企業への影響

 会社法改正案が来年、通常国会に提出される。
 最低資本金の撤廃、株式会社と有限会社の一本化など、
 中小企業への影響は必至だ。


 会社法制が大きく変わる。法制審議会の会社法部会において、商法・有限会社法など現行の会社法を「新会社法」に一本化する方針が固まり、来年の通常国会に法案が提出される見通しとなった。
 今回の改正は、会社法制の現代化を目的とするもので、ひらがな口語体による条文構成に改めると共に、株式会社と有限会社の一本化を軸とする抜本的な見直しが講じられる。中小企業の設立・運営などに強い影響を与える制度改正となる。
 この九月、中小企業庁は全国8カ所で説明会を開催し、中小企業に関連の深い事項について紹介、意見聴取を行った。特集では、その資料に基づく改正のポイントと併せて、法制審議会前委員で全国中央会・田勢修也参与の論評を紹介する。

会社法制改正その背景と骨子

現行制度

○近時、度重なる改正が行われてきたが、会社法制全体として体系的な検討は行われていなかった。
○商法、有限会社法、商法特例法など、会社法制に関する重要な規定が散在。
○カタカナ文語体表記となっており、現代では使われないような用語も残存。

課 題

○企業の実態を踏まえた抜本的な見直し(株式会社への過剰な規制の見直し、定款自治の拡大、大会社にあってはガバナンス強化やコンプライアンス体制の確立)の必要性。
○会社法ユーザーにとって分かりやすい内容及び条文構成。


会社法とは

 会社に関する法律は、(1)株式会社や合名会社、合資会社を規定した「商法第二編」と(2)「有限会社法」(3)株式会社の監査などを規定した「商法特例法」に分かれている。
 商法第二編は一八九九年、有限会社法は一九三八年にそれぞれ制定されるなどその生い立ちは古く、政府はカタカナの文語体を現代語に書き換えるなどの見直し方針を決めていた。
 一方、経済界からは会社経営の実態に即した規制緩和の強い要望があり、経済産業省も会社組織の区分見直しを求めていた。




中小企業静岡(2004年10月号No.611)