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 準特集 
 「くみあい百景」 
 編集室便り 





 準特集   寄 稿


 電力の小売り自由化について
 〜自由化の動向と地域の中小企業の対応〜

 来年4月より、契約電力の規模に関わらず高圧で受電している事業所全てが小売自由化の対象となる。はたして中小工場やビル、スーパーなど中小企業に与える影響とは。また、その対応は?

中部電力株式会社静岡支店営業部
大口営業グループ長 間野 秀人
静岡営業所 054-202-1834
藤枝営業所 054-646-5721
浜松営業所 053-458-8179
掛川営業所 0537-23-9453



電力小売自由化の概要について  

 九十年代初頭、バブル経済崩壊による経済の閉塞感が高まる中、規制分野の改革が重要な政策課題となり、その一環として、通商産業大臣(当時)の諮問機関である電気事業審議会では電気事業の一層の経営効率化が議論されてきました。その結果、平成七年に電気事業法が三十一年ぶりに改正され、発電部門、小売部門に競争原理が導入されました。その後、政府による「経済構造改革」の一環として電気事業における効率化徹底の要請を受け、さらなる競争原理の導入として小売市場自由化の是非が電気事業審議会等において検討されました。その結果、平成十一年五月の電気事業法改正により、平成十二年三月から特別高圧で受電されているお客さまを対象として小売の部分自由化が実施されることになりました。
 この電気事業法改正では、一般のお客さま(電灯・低圧・高圧)への供給については引き続き電力会社に供給義務が課さる一方、大口のお客さま(電気の使用規模が2千キロワット以上でかつ2万ボルト特別高圧以上で受電するお客さま)への供給については、供給者とお客さまとの自由契約が原則となり、お客さまはそれぞれの意思で電力会社や電気の販売業者を選べるようになりました。
 この部分自由化の導入に際して、電力会社は経営の効率化の成果をすべてのお客さまに行き渡らせることが要請されているため、自由化の対象のみならず、自由化されないお客さまに対する料金やサービスの改善にも努めていくことになりました。
 さらに、経済産業大臣の諮問機関として平成十三年に発足した総合資源エネルギー調査会電気事業分科会において今後の電気事業制度のあり方が審議され、平成十五年二月に「今後の望ましい電気事業制度の骨格について」と題する報告書がとりまとめられました。その後、本報告の内容に基づき同年六月に電気事業法が改正となり、これにより、本年四月には高圧5百キロワット以上のお客さまが自由化対象となりました。また、平成十七年四月には高圧のお客さま全てに小売の自由化範囲が拡大される予定です。




中小企業静岡(2004年10月号No.611)