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指導員の現場から
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「個性」の時代に
求められるバランス感覚
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「個性を結集して大脱走」!
「大脱走」という映画。
有名な映画だから、ご覧になった方も大勢いることと思う。
第二次対戦中、脱出不可能といわれたナチの捕虜収容所を舞台に、連合軍の兵士たちがトンネルを掘り脱走を試みるというのがこの映画のあらすじだ。
フィクションと思いきや、脱走の手順などは事実に基づいているというから驚かされる。
映画に登場する人物も、ひと癖もふた癖もあるツワモノぞろいだ。
脱走に必要な物資を供給する「調達屋」、身分証明書を作る「偽造屋」、そして正確な技術でトンネルを掘る「トンネル屋」。
過去の戦歴や職業などから役割が決まり、まさに特技や才能を活かした個性を結集して、前代未聞の脱走劇を実現させるのである。
「選択と集中」
ここ数年、県内企業の製品の販路拡大を目的に、十数社でグループを組んで、東京で開催される大きな商談会への出展をサポートしている。
とにかく大きなイベントで、四日間の会期に来場する全国のバイヤーは一八万人にも及び、出展企業数も二三〇〇社と破格だ。
それだけに、ほかの出展ブースに“類似品”を見かけることもしばしば。そうなると商談の話題は売価や納期に集中する。
しかし商品に他と差別化できる「個性」があれば、「もう少し小さくできないか?」、「指定のカラーに○○色を加えられないか」といった改良のヒントにもなり得る“前向きな注文”が飛び出してくる。
「ヨソとどこが違うのか?」「お宅の“売り”は何?」
こうした商談相手の率直な問いかけに的確に応えられる材料を持ち合わせていないと、なかなか思うような成果は得られない。自分の得意技はこれです!と宣言して、その部分で徹底的に勝負する。「選択と集中」は、今の企業にとって大きなテーマであり、こうした状況は、年を追うごとにますます顕著になっているように思う。
全部自分ひとりでやる?
企業の個性を主張するということは、得意分野に特化するということ。
それだけに、自分でがんばる部分と、ノウハウを持ち寄って協力していく部分とをバランスよく使い分ける経営者感覚が大切だ。
顧客のニーズに合わせて、企業の価値を複合し共鳴し合って新しい価値を生み出していく。こうした企業同士の連携を的確に、かつ柔軟に取り入れるノウハウも重要となる。
それぞれが持つ特異な能力を結集して、見事本懐を遂げた「大脱走」。我々も、輝く個性や能力を結集して、不安定な時代からいち早く抜け出したいものだ。
それにしても、敵のバイクでスイス国境に向けてひた走る主役のスティーヴ・マックイーンは、映画の中でひときわ個性的で、実にかっこよかった!
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(秀)
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