再生と「企業家社会」への道
中小企業白書のポイント
―2003年版―


 2003年版中小企業白書のテーマは「再生と企業家社会への道」。
 日本経済を支えてきた中小企業の「強み」を分析するとともに「創業、退出、再生・再起」が容易な経済社会を構築するための課題、さらに経営革新の一形態として、新しい中小企業ネットワーク構築に向けての課題の分析などを行っている。





再生・再起容易な体制へ向けて

企業の質を見る金融の実現にも言及

 中小企業白書は、中小企業基本法に基づき、政府が毎年中小企業の動向を明らかにするため、国会に提出するもの。昭和三八年に第一回の白書が作成されてから、今回で四〇回目を数える。高度経済成長期、石油危機を経た安定成長期、バブル期、そしてバブル崩壊後の経済停滞と、それぞれの時代を映したものでもある。
 二〇〇三年版の白書は、第一部「最近の中小企業を巡る動向」、第二部「日本経済の再生と中小企業の役割」の二部構成。
 後述の各種の課題提示や分析を積み重ね、中小企業の強みを確認しながらも、イノベーションを着実に実施し、収益体質を強化するもののみが生き残り、再生を達成しているのであり、このような中小企業が数多く輩出する「企業家社会」が形成されることが日本経済再生につながるものとしている。

 白書の構成

第一部「最近の中小企業を巡る動向」

・厳しい中小企業の経済環境・金融環境を詳細に分析

第二部「日本経済の再生と中小企業の役割」

・長期的に見て日本経済を支えてきた中小企業の「強み」の分析
・創業、退出、再生・再起が容易な経済社会の構築のための課題の分析
・財務データだけでは測れない企業の質を見る金融の実現方途の分析

 特色

1.  数々の試練を乗り越え、わが国経済の発展支えてきた中小企業の「強み」を確認し中小企業こそが経済再生の先導役であることを明らかにする。
2.  最新時点の創業動向を把握するとともに、産経営者に対する大規模かつ広汎な調査により、倒産の実態、倒産者の再起、事業 再建のための条件を具体的に考察。また、産業集積地区の調査を通じて廃業を希望する者の実態を解明。
3.  下請企業がグローバル調達等に対応し、生き残る道を探るとともに、中小企業間の水平連携及び産学連携を成功に導くための多様なあり方を分析。また、商店街としての魅力向上のための共同活動事業の成功条件を探求。
4.  大手銀行が貸出の縮小等を進める中、中小企業金融における地域金融が有している役割を再評価するとともに、金融機関の合併・破綻等近時の金融環境の変化が中小企業に与える影響を明らかにする。
 更に、貸し手の多様化等中小企業の資金調達力の強化の道を探求。


中小企業静岡(2003年 6月号 No.595)