新たな市場に連携で挑戦
この数年、組合設立の目的として主要事業に据えられているのは、圧倒的に共同受注である。
五ページに掲載した「この六年間の組合主要事業の変遷」でも新設組合の半数が共同受注を目的としている。
しかし、その分野はIT、コンサルティング、建設関連、サービス分野とますます広がり変化しているようだ。
町内需要の流出を防げ!
(協)吉田商工セレモニーといなさ商工セレモニー(協)はともに葬祭・法事に関する共同受注が中心。従来は大手業者に関連需要をほぼ独占され、地元業者の入り込む余地が少なかった。
これに対し、地元の飲食料品・衣料品小売、印刷業、旅客運送業ら葬祭事業と関連する小規模事業者が結束した。
組合員の業種構成に若干違いがあるため、扱い品の幅に多少の違いはあるが引物、弁当、花輪、生花、搬送などを含め「地元業者の利点を最大限に活かし、町民に安価かつきめ細かなサービスを提供し、葬祭における需要の町外流出を防ぎたい」意向だ。
こうした地元市場の大手や外部への流出に対するものとしては、おおいがわAkindo事業(協)もあげられる。大井川町内の地元三商店会のメンバーが事業協同組合として組織化。それまでバラバラに活動していた販売促進事業を一本化。町内共通商品券、ポイント発行端末機の導入などを通し、販売促進を図っていく。
厳しい小売環境に加え、大型店舗出店の影響で危機感は強い。
名称には組合の夢とCI戦略も
ところで、おおいがわAkindo事業(協)の名称にオヤッと思われた方もいらっしゃるのではなかろうか。
Akindoの文字が新鮮な響きと新たな意欲を感じさせている。ITはまなこ(協)という名称も誕生した。
これは昨年(平成十四年)十一月に「商業登記規則等の一部を改正する省令」等が施行され、商号の登記にローマ字等が使えるようになったもの。社会経済の国際化、日本語表記の多様化などから、一般に会社の商号表記にローマ字が用いられるようになり、商号登記についても使用の要望が増えてきたことから改正に至った。
ただし、(1)既存の組合の場合は、定款変更が前提となる(2)「協同組合」の文字そのものについては、ローマ字表記は認められない など留意が必要だ。(詳細は中小企業静岡平成十四年十二月号「インフォメーション」欄でも紹介済み)
いずれにしても組合の名称に幅が広がったのは確か。十四年度の新設二一組合の名称を見ると、十三組合がカタカナを使用(一部使用も含む)、二組合がローマ字、他にも「あい愛」「豊年万作」など…その名称の変化には、メンバー、業種、目的の変遷が見え隠れしていると同時に新しいモノを作り出そうとする、または新しい市場を獲得しようとする夢とCI戦略が秘められている。
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