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求む!強力な内閣、強力な対策

 率直に言わせてもらう。私は小泉首相の政策展開には賛成できない。どうやら見当違いの政策運営によって、先の見えない海図なき海をさまよい続けている日本丸は、もはや小泉船長による運航は限界に達していると断言せざるをえない。
 そのなによりの証(あかし)は、小泉首相は圧倒的高い支持率を受けたなかで、さっそうとして登場した。が、しかし経済の指標となる株価は逆に、一方的に下げ続け、今日の惨澹たる状況にある。この事実一つをとってみても、政策の失敗は明らかである。
 小泉政権のあり様をみていると、いわゆるバーチャル・リアリティと思えてならない。独特の観念論から出たスローガンだけが先行して、現実の経済実態とかけ離れているのではないか。経済はもとより社会全体の閉塞感が、コトここまでくると我々中小企業としても“政局の転換”を求めざるをえない。
 しかし残念なことに、欧米と違ってこの難局に対応できる野党も、いたずらに離合集散をくりかえすばかりの情けない状況にあることも世間周知のことである。とすれば、自民党を中心に政権与党は、今こそ党利・党略、特に派閥を完全に超越して、有効適切な施策を確実に遂行できる強力な内閣をつくる以外に道はない。その内閣においては、現実の経済に合致した中小企業対策を主柱にすえるべきことを、私は強く、強く主張したい。
 それには格好の先例がある。ご承知のように隣りの韓国においても、五年前の、あの大不況を克服できた最大の要因は、大企業の猛烈なリストラを上回る中小企業の貢献であったことは、世界のエコノミストが等しく認めるところである。
 物量ともに国民経済の大宗を占める中小企業こそ、技術においても、雇用面においても、あるいは地域経済の活性化にとっても、欠くことのできないことを今こそ再評価すべき重大な時である。
 今、わが国の政治状態は、有史以来、最悪である。あえて言う。我田引水ばかりでは、政治は良くならない。反省こそ、最大の転換の好機である。

静岡県中小企業団体中央会・会長 


中小企業静岡(2003年 4月号 No.593)